エンシェントドラゴン 2
「ゴォオオオオオオオオオーーーーッ!」
竜の口から唸りと共に吐き出される炎の塊。それが川の流れように僕に迫り来る。どうすればいいか体が動く。右手を突き出しそれをことごとく収納に入れていく。自分で自分がした事に驚く。こんなものも収納に入るのか! 長く感じる時を経て、竜の息吹は止まる。
「いきなり何すんだよ!」
僕は収納からハンマーを出して駆け出し、どうにか攻撃が届く所、竜の前足向かって薙ぎ払う。
ギンッ!
硬質な音を立ててハンマーが空中で止まる。僕の攻撃は透明な板のようなものに阻まれる。円形の輝く水晶みたいなもの。けど、水晶と違うのはギラギラ光っている。丸盾、ガラスみたいな丸盾だ。押してもびくともしない。ハンマーを引いて再び殴りかかるが、先の盾は消えて、またもや新しい盾に阻まれる。
ブゥオン!
僕を薙ぐ竜の腕、大きく飛んで後ろにかわす。収納から投げ槍を出して竜の顔目がける。
キン!
乾いた音を立てて、槍は空中に浮かんだ盾に落とされる。これがディアシーが言ってた金剛の盾か? 確か金剛ってめっちゃ固い物の事だよな。ライを使って固さを試してみるか? いや、ライの頭が砕ける未来しか見えない。さすがに可哀想だ。
「嬢ちゃん、加勢しようか?」
タイガーの声がする。
「タイガー、大丈夫だ。それより、シープの特技は効かないのか?」
「やってるが弾かれてる」
シープと竜の間にガラスのような盾が出たり消えたりしている。まじか、シープの謎の睡眠攻撃も効かないのか。
いい。とてもいい。
と言う事はディアシーをどうにかして仲間に引き込めばシープを無力化する事が出来るな。あの生意気なクソガキに、生お尻ペンペンかましてやる!
ギーン!
ギーン!
ギーン!
僕の渾身の一撃はことごとく竜に届く前に透明な盾に阻まれる。しかも武器が負けて変形してきた。振るわれた竜の腕、尻尾、顎をかわす。そうだカウンター。僕に向かって噛み付いて来ようとする竜の鼻っ柱に拳を合わせる。
ゴンッ!
「いってーーーーっ!」
思いっきり殴ったが、竜の鼻先に現れた透明な盾を思いっきり殴ってしまった。左手はなんとか砕けてはいないようだけど、めっちゃ血が出ている。金剛の盾、固すぎだろ。素手での攻撃は無しだな。
ハンマーで殴る、盾で防がれるを延々と繰り返していく。そして、たまに放たれるブレスを収納にしまっていく。らちがあかない。もしかして盾を出す回数に制限があるのかもと期待したけど、それはなさそうだ。僕は少しづつ疲れて来てるけど、竜は変わらない。そう言えばディアシー、お腹減ったとか言ってた割には良く動けるな。




