フロアイミテーター 3
「きやっ!」
僕はハンマーを収納にしまって、屈んでライのくびれが少ない足を両手で掴む。握りにくいのが難点だ。
「まじ、まじ、まじー! それだけは止めてー!」
ライも楽しそうだ。僕は当たり前構わず何も考えずハンマーでイミテーターを殴っていく。いい、とてもいい。強度、攻撃面積といいイミテーター狩りに作られたようなハンマーだ。しかも、倒せば倒す程成長していくハンマーだ!
僕はライハンマーをぶん回し階段を降りていく。ここは足場が悪い。それに前にしか攻撃出来ない。面倒くさいから出来れば四方八方から襲いかかってきて欲しい。
『お前は馬鹿なのか? わざわざ囲まれたいのか?』
アムドさんの声がする。ん、ミーのポータルどこ行ったんだ? ライハンマーの頭には付いてない。
「アムドさん、ポータルどこあるの?」
『お前の足の下だ!』
あ、見ると足のつま先にポータルが付いている。落ちたのを僕が踏んだのか? 何か悪い事した気になる。
「ゴメン、ゴメン。気づかなかった」
僕はライを一旦地面に置き、つま先のポータルを取る。ライは目を回してるのか動かない。取りあえずライのお尻にポータルを貼り付ける。
『尻に貼るな!』
「多分、そこが一番剥がれにくいんじゃ?」
『視界か回って何が何だかわからんよ。出来ればカナンのどっかに貼り付けてくれよ』
「やだ」
ポータル、金色の魔方陣はどこに貼り付けても中二臭が酷すぎる。ライくらいの色ものじゃないと似合わない。
僕は再びピクピクしてるライの足を掴みイミテーター狩りに精を出す。そして、階段が途切れ、次のフロアに続く穴に飛び込む。階段は壊れたままだ。
ライを地面に叩き付け足場を作り辺りを見渡す。見渡す限りイミテーターに囲まれている。盛り上がった土みたいなものから沢山の触手が出たのが幾つも床からはえている。壁だったと思われるものからも触手が生えまくっている。なんか巨大なイソギンチャクに囲まれてるみたいだ。気が弱かったら夢に見るぞ。
それにしてもディアシーは何を考えてこんなフロアを作ったんだろうか? フロア全体が魔物ってやり過ぎだろ。無理ゲーだ。まあ、それは突破して本人に聞いてみよう。
「行くぞ、ライ!」
「もう、好きにして……」
僕はライを足から引きずるように下段に構える。相棒のライは何故かテンションが上がって無い。
イミテーターがジリジリ近づきながら触手で攻撃してくる。囲まれたら、いや、包まれたら終わりだ。
「どうりゃーーーーっ!」
まずは横薙ぎにライを振り、十把一絡げにイミテーターを薙ぎ払う。
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