フロアイミテーター 2
「私の分の服は無いのか?」
ライが口を開く。
『あんた岩肌だから要らないでしょ』
今度はレイが応える。
『むしろ、変身してるあんたが動いたら服破けるから、出来れば裸で戦ってもらいたいくらいよ。服、意外に高いんだから』
さすがに裸は可哀想だ。ライを武器にするこっちの身にもなって欲しい。足を掴む予定だから、悲惨な事になる。
『解ったわよ。今着てるので我慢するわ』
今度、街に行ったら、ライ専用に金属製の服とかいいかもな。そしたら何も考えずに振り回せるな。防具屋に売ってるビキニアーマーって観賞用のネタ鎧だと思ってたけど、こんなとこにニーズがあるんだな。さらにゴーグル付きの兜でも買ったらなんとかライも人間に近づけるだろう。
僕たちは会話しながらもイミテーターの触手を潰し続ける。足場が悪いので徐々に後退している。それにしてもどんだけいるんだ? 倒しても倒してもきりが無い。やっぱり武器が小っさいからだろう。ライは楽しそうにイミテーターを殴ってるからさすがに今武器にするのは可哀想だな。けど、どう見ても、やたら僕の方に攻撃が集中している。もしかして、ライの方が固いって学んだのか? いや、そうだ学ぶも何も、ここはディアシーの迷宮。ディアシーがどっかで僕らを見ているのかもしれない。今までこの迷宮で感じた不自然な事も全てそれで納得できる。間違い無く、ディアシーは僕らを見ている。逆にディアシーに言う事を聞かせる事が出来るのなら、忍者タイガーとシープは簡単にどうにかなるだろう。
だから、進むのみだ。ディアシーに会ってなんとかしてもらう。他力本願だけど、それが一番早そうだ。
「ちょっとー、いつまでこんな事やってればいいのよ。もうっ、きりが無いわ」
ライを見ると少し動きが鈍くなってるような。そりゃそうだ。石の体を動かすのは僕らの数倍のカロリーを消費するのだろう。そろそろ頃合いか?
「ライ、疲れてきたんだろ」
「まあ、少しはね」
少しじゃ無いな。パンチが当たった後、体が流れ始めてる。
「お前も収納世界で休んどくか?」
「嫌よ、私も戦う。みんなが苦しんでるのに私だけのうのうとしてられないわ」
【のうのう】とって確かリラックスしてる系の言葉だと思うが、大怪我はしてるがみんな【のうのう】としてると思う。まあ、言いたい事は分かるけど。
「お前は足手まといなんだよ」
「それでもやるわ! みんなを助けるためならなんでもするわ」
一応女の子なんだから、なんでもするって易々と言うもんじゃないよ。
「そうか、ありがとう。じゃ」
なんでもするって言質は取ったので、ではなんでもしてもらおう。
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