フロアイミテーター 1
「でぇやっ!」
ミーが言ってた階段の境界線の先をハンマーでぶっ叩く。
グジュ。
地面の表面が液化して広がる。マジだ。イミテーターだ。目の前の壁、床、天井が盛り上がりそこから先端が尖った触手が伸びる。ヤダヤダ、気持ち悪い。けど、やるのみだ。この前の恨み晴らしてやる。
「私も戦うぞ」
僕の左にライが並ぶ。武器は手にしてない。拳1つで戦うみたいだな。
僕は伸びてくる触手をハンマーで薙ぎ払い、ライは拳で打ち落としていく。ある一定ダメージを与えると、イミテーターは一部分が液体になって動かなくなる。1つのイミテーターが沢山集まって周りを覆い尽くしてるみたいだ。びちょびちょになった階段を少しづつ進んでいく。僕もライも無言で叩き続ける。尖った触手が体を掠めるが、僕は皮一枚裂かれるだけ、ライに至っては無傷に見える。けど、衝撃は体に伝わる。足場が悪く狭い階段ではかわすのは難儀だ。
「きゃっ」
ズデン!
ライが転倒して下に転がっていく。瞬時にしてライがイミテーターに包まれる。ライに呼吸が必要かは分からないが、即座に助けに回る。ハンマーを収納に入れて、階段を滑り降り、ライに纏わり付くイミテーターを手当たり次第むしり取ってその手を引きずり出して階段の上に放り投げる。
「扱い方、扱い方! もっと大事にあつかってー!」
何かライが言ってるが、体に巻き付いて来た触手を引き千切り、僕も一旦階段の上に逃げる。
「危なかったな」
僕は追撃してくる触手をハンマーで叩き落とす。
「あんたの方が危ないわよ」
ライも拳で迎撃する。
「おいおい、良く自分を見ろよ。服、溶けてるぞ」
ライは服の至るとこが溶けて、かなりセクシーな格好になってる。格好もよりお地蔵様に近づいている。年代物の。
「あんたもあんまり変わんないわよ」
イミテーターに纏わり付かれるとどうも溶かされるみたいだ。こりゃ気をつけないと奴らを全滅させる前に僕らの服が全滅してしまう。
『ライは大丈夫みたいだけど、カナン、溶かされたとこ火傷みたいになってるわ』
ミーが話しかけてくる。
『勿体ないけど、服、換装するわよ』
僕の服が一瞬にして変わる。うげ、めっちゃフリフリなやつだ。
「2人だけだから、服、無くてもいいよ」
『ダメよ。あんたの肌にシミとかついたら嫌でしょ。服一枚でも少しは防具代わりになってるみたいだから。それよりもっと攻撃食らわないように』
まあ、やられたとこ少しヒリヒリするもんな。ミーがそう言うならしょうが無いな。うん、攻撃、食らわないように気をつけよう。
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