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 収納世界 3


『おーい、先生、ライ』


 声をかけるように念じてみる。


「ん、カナンかー?」


「カナン?」


 先生とライの声が聞こえる。


『聞こえるの?』


「うん、バッチリ聞こえてるわよ」


 ライは応えてくれたけど、先生は食事に戻る。ポータルが動かないか試して見るが、出来ないようだ。まあ、けど、中に入ったら元居たとこから完全に消えられてしかも出してるポータルから外を見る事が出来る。もしかして、これって無敵なんじゃないか? 僕はポータルから半径1メートル範囲のものを出し入れ出来る。とりあえず肉ばかり食べている先生の健康を考えて、大根を出してみる。ちゃんと地面に出せた。


『先生、野菜もたべるのよ!』


「分かったよミー」


 先生は地面の大根を掴んでボリボリ食べる。えっ、会話してるのは僕じゃない。ミーだ。確かミーは収納の中で瀕死なはず。もしかして、ポータル出したら収納の中に入った人とも話せるのか? その前に、ミーやアムドさんと会いたい。


『待って、カナン。あたしは見た目はそんなに酷く無いけど、あとの3人は酷いものよ』


 ミーだ。僕の強い思いは自然と伝わったみたいだ。


『出来ればあんまり見られたくないな』


 アムドさんだ。そう言えば何ヵ所も爪が貫通してたもんな。


『ライと違って天使みたいな私もボロボロよ』


「えっ、レイ、レイなのか?」


 ポータルから見えるライは喜色満面だ。


『あんたたちなんかまだましよ。私なんて出ちゃいけないものがはみ出てるし……』


 マリンの悲しそうな声。出ちゃいけないものって一体……


『ちょっと、カナン、先生、変な想像してるでしょ! ちょこっと、ちょこっとだけ内臓がはみ出してるだけよ』


 聞かなければよかった。エッチな何かがはみ出してる方がまだましだ。


『何よそれ! 好きで内臓はみ出させてる訳じゃないわよ。そんな言うなら脱ぐわよ。脱げばいいんでしょ!』


 いやいや無いわー。女の子の裸には若干興味あるが、内臓はみ出た女の子の裸なんか見た日にはドン引きするだけだ。けど、分かる。マリンはふざけて出来るだけ今の僕らの空気を明るくしようとしてるんだろう。


『はいはい、という訳だから、あたしたちに会うのは勘弁して』


 ミーが今まで聞いた事無いような優しい声で言う。


『それに、カナン。あたしたちを助けてくれるんでしょ。実際に会うのは傷一つ無い状態でね。待ってるわ』


『期待してるぞ』


『天使に戻してね』


『腸も戻してね』


 アムドさん、レイ、マリンが続く。そして声がしなくなった。

 なんとかして、みんなを癒さないとな。



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最強の荷物持ちの追放からはじまるハーレムライフ ~
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