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 魔道都市アウフ


「そこの3人、署までご同行願えるかな」


 道を間違えて違う街に来たショックに打ちひしがれていた僕に、煌びやかな鎧を纏った女性騎士が複数の衛兵を引き連れて話しかけて来た。


「ん、人違いじゃないですか?俺達なにもしていませんよ?」


 署まで同行しないといけないような事をした覚えはない。


「悪いが、人違いじゃない。あなたは今、凶悪なスキルを使いましたね」


 凶悪なスキル?僕は荷物から出すように見せて、収納の中からお金を出しただけだ。もしかして収納スキルの事か?


 強力な魔道具を門に設置してるような街だ。嘘はつかない方がいいかもしれない。


「凶悪なスキル?俺が使ったのは収納のスキルで、お金を出しただけだが?」


「どういうスキルかは問題ではない。この国の守護精霊がこの地点で危険なスキルが行使されたのを感知した。その安全性の確認のためにご同行願う」


 女性騎士は剣の柄に手をかける。言う事を聞かなければ、実力行使も辞さないということか。


 僕達はしばし対峙する。


 揉めても良いことないな。僕はマイとアンを手で制し、前に出る。


「わかった。ついて行こう」


 僕達は衛兵に囲まれながら、女性騎士について行った。



 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「ザップ、あたしどうしよう」


 マイが不安げに僕に問いかける。


「しばらく様子をみてみよう」


 僕達3人は、治安管理署と書いてる建物に案内された。順番に謎の魔方陣の上に乗せられ、僕とアンは問答無用で鉄格子にぶち込まれた。その格子の向こうでマイが椅子に腰掛けている。正直少し不満だ。アンが危険生物なのは認めるが、僕よりもずっとマイの方が危険な存在だと思うのだが、この格差は何なんだろうか。


「ご主人様寒いです」


 僕とアンはこ汚い牢の床に座っている。石造りでお尻が冷たいし、ここは寒い。なんか隙間風が吹いている。


「すまんな、しばらく我慢してくれ。スキルを使うと面倒くさい事になりそうだ」


 足音がして、さっきの女性騎士が現れる。


「いきなりこんな所に押し込めてすまない。収納のスキル持ちというのがこの街ではよろしくないのだよ。密輸、脱税によく使われるから、あなたたちは犯罪者の疑いがかけられている。もうすぐ、学院から導師が来るから、そこで身の潔白を証明してくれ」


「わかった。けど、1つ願いを聞いてもらえないか。寒いんだよ」


 女性騎士は僕達に毛布を1つづつ持ってきてくれた。いい人だな。これで幾分ましになった。暴れて逃げちまおうかと思ったけど、女性騎士がその次には暖かいスープを持ってきてくれたので、導師とやらを待ってみることにした。



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