狼串
「あんたたち、なに肉なんか焼いてるのよ。で、あたしの分は?」
「自分の分は自分で焼け」
先生はさっと表面を焼いた肉を串ごと食べちまう。先生はレア派、下手したらそのままでも食べる。
「先生、串は食うなよ。作るの面倒なんだから」
僕は新しい肉串を先生に渡す。
「悪い、悪い。ミーが話しかけてくるからだ」
「人のせいにしないでよ」
僕はミーにも肉串を渡す。ミーも肉を焼き始める。
「私も欲しいです」
マリンにも肉串を渡す。良い感じで人形は燃えている。
そして、僕らは肉を焼く。
「で、何であんた、魔法使ったのよ」
ミーがマリンをじろり。
「木の敵がいたらファイヤーボール。当たり前じゃない」
マリンは焼けた肉を食べる。結構焼く派みたいだ。
「詠唱終わってストックしてたでしょ。敵が何でも魔法使う積もりだったでしょ?」
ミーも食べる。ミーはウェルダン派だ。固くても赤いとこが無いのが好きだそうだ。
「あ、ばれちゃった? だって私も少しは活躍したいんだもん。それに薬もってるでしょ」
肉を食べ終わった二人に新たな肉串を渡す。
「ダメ。マナポーション、高いんだから。で、あと何回使えるの?」
二人仲良く肩寄せ合って肉串を焼いている。
「そうね。タッチヒールならあと一回はいけそうね」
「んー、それは心許ないわね。しょうが無いわね。はい、これ」
ミーは収納からマナポーションを差し出す。
「ありがとう」
マリンは肉をつまみにポーションを飲む。なんか美味そうだな。
美味い肉串のお陰でか、ミーの機嫌が悪くない。さすが先生だ。美味い食事は場を和ませる。先生が肉を焼かなかったら、二人は喧嘩してた事だろう。
「で、カナン、これ、何の肉なの? それにいつの間に仕込んでたの?」
「ん、狼だよ。モヒカンたちに作って貰った。リーダーは凄いよ。肉、固くないでしょ。ナイフで一切れ一切れ切れ込み入れて柔らかくしてあるんだよ」
「うん、柔らかいわ。けど、なんか狼食べるのが日常になったわね」
「そだね」
僕らはせっせと肉を焼いて食べる。やっぱ直火焼きは美味い。そして、火も消えて、僕らは次の部屋に進む。いい休憩になったな。
「マリン、次はファイヤーボール無しよ」
「マジックミサイルは?」
「ヤバそうだったら、1発はいいわよ。じゃ、先生。いいわよ!」
次の部屋にも木の人形。
「おう! 行ったるでぇーっ!」
先生は金棒を手に人形に駆け寄る。僕もハンマーを手にその後に続く。
「どっせいやーっ!」
先生の会心の振り下ろし、だが、動き始めた人形は前に出ながらかわす。
ガッ!
人形の回し蹴りが先生の腹に刺さるが先生は耐えきる。人形は先生を蹴って後ろに下がる。




