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第十六話 荷物持ち治療する


「置いてかないで……」


 目を閉じたままマイは言う。寝言か。それにしても、マイは置いて行かれると言うこと関して過剰に反応するな。昔、何かあったのだろうか?


 小腹が空いたので収納から肉を出して食う。マイは穏やかな顔で寝息をたてている。


 肉を食い終わり、次は僕のハンマーとマイの斧を磨く。音をたてないよう気をつける。

 

 けど、そろそろ起こすべきか?


 この階層には出来るだけ長居したくない。ここは、このダンジョンでは数少ないうろつく魔物ワンダリング・モンスターがいる階層だからだ。

 このダンジョンは特殊で、魔物は部屋に配置されていて、基本的に部屋からは出て来ない。まだ弱いうちは、危なくなった時に部屋を出ると追撃されないという利点を生かして、ヒットアンドアウェイで敵の数を減らして戦っていた。


「ゲホッ! ゲホッ!」 


 マイは咳き込んで身を起こす。口から血の塊を吐く。赤黒いから口や食道に残っていたのだろう。


「あたし、生きてる? 傷がない?」


 マイは槍で刺された所を手で触っている。


「ザップが助けてくれたんだね、ありがとう」


 マイは頭を下げる。頭や顔が血で汚れている。


「くうっ……」


 マイは立ち上がろうとして、苦痛に顔をしかめる。


 あとは、足に刺さった矢を抜かないとな。


 気を失ってる時に抜いてやればよかったのだが、矢は深々と刺さっていて、なにか道具が無いと抜けなさそうだった。

 マイの荷物をあさろうかと思ったが、女性の荷物を無断で触るのにははばかられた。


「ナイフを出せ」


 マイのリュックを前に出す。


「はい。けど何するの?」


 僕はナイフを受け取ると、マイの矢の刺さった足のまわりの服を十字に切り傷口を出す。腿の白い肌がのぞく。


「歯を食いしばれ」


 矢の刺さった所を大きく横に切り裂く。深く刺さっているので、そうしないと鏃のかえしが引っかかって抜けない。


「ググッ! ハッ!」


 マイは口を噛み締める。矢を取り除き、エリクサーをかける。みるみるうちに傷口はなくなる。


「ハッ! ハッ!」


 マイは脂汗をかいて、肩で息をしている。


「ありがとう、ザップ」


 ナイフを拭ってマイに返す。


「ザップって魔法使いなの? 傷を治してくれたし、それに炎も出してた」


 僕は迷う。どこまで説明すべきか? マイとはもしこのダンジョンから出れたらそこでお別れだから、手の内は余り明かさない方がいいだろう。


「おしゃべりはここまでだ。ここは安全じゃない」


 立ち上がり、辺りを見渡す。リザードマンの持ち物ではマイの武器になるようなものはない。

 ドロップ品を探すと銀色のポーションが落ちてた。これは結構甘くて美味い。拾ってマイに渡す。あと、血を拭えるようなものは、武器磨き用のくたびれたミノタウロスの腰巻きしかないので、それも渡す。


「飲め、顔を拭け」


 マイの大きな目がまん丸に見開かれる。猫耳が小刻みに痙攣した。


「あ、ありがとう!!」


 マイは大袈裟に頭を下げる。女の子は甘いもの好きだからな。


 僕は地下45層への階段へ向かう。マイはポーションを飲むと顔を拭いながらついてきた。

 さっきのようにならないように、マイから余り離れないようにする事にする。


 矢の抜き方で色々ご指摘がございましたが、作者同様ザップも無知なので、よろしくお願いします。

 ザップ的には切って取りだしてエリクサーで癒したらいいんじゃって考えです。奴は1人の時自分の体でそうしてきたので配慮が足りないです。


 読んでいただきありがとうございます。


 みやびからのお願いです。


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 執筆の励みになりますので、よろしくお願いします。

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