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 海を見たい


「海、見に行かないか?」


 歩きながら僕は提案してみた。


 僕は王国育ちなので、海を見たことがない。王国は四方を国に挟まれていて海が無い。死ぬまでに一度は見てみたいものだ。


「いいですね、ご主人様、おいしい魚介類食べたいです」


 アンはぶれずに食べ物1番だ。けど、正直僕も食べてみたい。王都にも魚介はあったけど、めっちゃ高くてしかも煮こんだものや、乾燥させた物ばかりであんまり美味しいものを食べた記憶がない。


「あたしも海に行きたいな」


 もしかしてマイも海は見たことないのか?


 マイはなんか、昔の事を話したがらないから、実は僕は彼女の生まれは何処か知らない。


「あたしもうみに行きたいわ」


 妖精ミネアも賛成みたいだ。相変わらずアンの角にしがみついてて、キンキンする大声を張り上げている。


「海、見たことあるのか?」


「ううん、あたしは山育ちだから」


「じゃ、海決定だな。それなら北の国境から東方諸国の方へ向かおう」


「ところでうみってなに?」


 やれやれだ。妖精は海自体を知らないのか、まあ、完全森育ちっぽいしな。


「海って言うのはな、でっかい湖みたいなもので、水がしょっぱいんだ。でっかい魚や海賊とかなんか色々いるんだ。」


 僕はそれからミネアに知ってる海の知識を披露してやった。




 僕達の来た王国は北で2つの国と接している。


 北西は帝国。帝国と王国は余り仲良くないから王国から帝国に行くのは難しい。面倒くさいからパスだ。


 北東は東方諸国連合。国と言うよりは都市国家の集まりで、基本的には何処とも中立条約を結んでいる。出入りにも寛容だ。


 名前は忘れたけど、コロシアムがある傭兵都市、魔法使いを沢山擁する魔道都市、町の中央に深い迷宮があり、冒険者の憧れの町迷宮都市などがあったはずだ。その都市国家群の東にうまいものが沢山採れる海があったはずだ。


 僕のやりたい事は、まずは海に行く。それと、どっかの町で駆け出し冒険者と冒険して冒険を楽しみたい。贅沢かもしれないけど、いきなり強くなって有名になったので、地道な冒険者の生活を味わってみたいのだ。


 今は、マイのリュックを久しぶりに出して、その中に冒険に必要な物一式を入れている。出来るだけ収納を使わずに旅を楽しみたいからだ。


 そう思っていたときもありました。


「うう、寒い……」


 歩いていたら、なんかいきなり天候が変わり、ぽかぽかだったのが一変してめっちゃ寒くなってきた。



 僕は速攻防寒着を出して、アンにも出して着込んだがそれでも寒い。


「もうすぐ春じゃないのか?」


 空からはのべつ幕なく『あられ』的な物が降る。


「ザップ、アンがいないわ!」


 後ろをみると、行き倒れてた。妖精も動かなくなっている。


「ご主人様すみません。春が来るまで寝てていいですか?」

  

 アンが虚ろな目で、言葉を紡ぐ。


 僕は即座に収納から家を出して暖炉に火をつけてアンと妖精をあたためる。爬虫類と虫は寒さに弱すぎる。


 三寒四温と言う言葉の恐ろしさを知った。いきなり今日は寒すぎる。勘弁してほしい。出発、もう少し待てば良かった……



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