可憐な妖精合流する
今回登場の妖精ミネアは、109話『番外編SS 荷物持ち薬草採取に行く』に登場してます。幻覚魔法を使う、蝶の様な羽根で手のひらサイズのスプライトという妖精です。番外編を飛ばした方はもしよろしければ戻って確認お願いします。
「ザップ、もうご飯たべちゃったの、あっちゃー、来るの遅すぎたわ」
ゆっくりしてる僕の回りを、蝶のような羽根の手のひらサイズの妖精が飛び回る。こいつ、しばらく見ないとおもったら、ちゃっかり僕の家に、多分ワープポータルか何かを仕掛けてたんだな。
部屋にはマイとアンもいて、皆で仲良く今は読書していた。
「ミネアちゃん、どうぞ」
優しいマイはテーブルにから揚げが乗った皿をだす。
「うわ、マイまじ天使。森には木の実とか野菜とか子供やじじばばの食べるようなものしか無いのよ。この塩っ気と油っぽさ、あたしが今まさに求めていたものよ」
妖精ミネアは僕から離れると体から黒い霧みたいなのを噴き出して、それが人の形になり人間サイズのミネアになった。変身する瞬間をまじまじと初めてみたが、気持ち悪いな。間違いなくなんかの呪術か黒魔術だろう。
「面倒くさいから聞かなかったが、お前の体どうなってるの? それも幻術なのか?」
「ん、ふがふが」
食べるのに夢中で顔だけ僕に向ける。その隙をついてアンがマッハでから揚げを1個食べる。
「あー、なに人のから揚げば食いよっとね。こんくっされトカゲ奴が!」
ミネアはアンに近づきその両のほっぺたを摘まむ。アンはその手を振り払う。
「なんばいいよっとね、そんならから揚げに名前ば書いときなっせ、こんくっされ虫奴が!」
次はアンがミネアのほっぺたを摘まむ。仲いいな、こいつら同郷なのか? 方言がシンクロしてる。
「はなへ、虫奴!」
「はなへ、トカゲ奴!」
お互いにほっぺたを引っ張り合ってる。なんて低次元の争いなんだ。二人ともなにもしなかったら通りを歩いてたらほとんどの人が振り返るような美少女なだけに、より一層残念だ。
「はいはい、二人とも喧嘩しないのもう1皿用意したから仲良くたべなさい」
マイがタブレットを使ってから揚げをもう1皿出した。お母さんみたいだな。
「「はーい!」」
2人は仲良くから揚げを食べ始めた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「それで、話はもどるけど、ミネアもアンもどうやって変身してるんだ?」
もしかしたら、魔法だったら僕も使えるのでは?
それなら、僕がドラゴンやスプライトにも変身できるのでは?
あと、ミネアの透明化の魔法も魅力的だ。
「私もミネアも使ってるのは、人間化の魔法です。これを使うと人間になれます。性別や特徴は引き継がれますけど」
アンが答えてくれる。
「もし、俺がそれを使ったらどうなる?」
「ザップだって人間になれるわよ。まあ、猿人間の性別と見た目は引き継がれるけどね」
ミネアがいたずらっぽく笑って答える。
「まてぃ! 素でいうな、俺は人間だ!」
「え、うそぉ、ザップのステータス、猿人間の魔王ってなってるわよ」
「ミネアちゃん、それは二つ名よ。多くの人々からそう呼ばれたらステータスにその通り名が付くこともあるのよ」
「え、マイ、俺にそんな二つ名が……」
「うん、モンキーマンデビルロード・ザップ。王都で吟遊詩人がハイテンポなサーガを歌ってたのも聞いたわ」
『モンキーマン♪ モンキーマン♪ モン・キー・マーン♪ ザーーーップ!』
3人が歌う。なんだそりゃ……
「なんか頭を離れない歌なのよね」
マイが小首を傾げる。
「話を戻すが、じゃ今のお前達は人間なんだな」
「当然人間よ、頭の先からつま先まで完全無欠の人間よ。あ、わかった。ザップ、あたしの魅力に抗えなくて、あたしとの子供が欲しくなったのねー!」
「黙れ。虫。そうかお前達人間なんだな、それならもっと人間らしくなってもらう。言葉づかい、礼儀作法、所作振る舞い。マイ、こいつらに今日からびっちり叩き込んでやれ」
「了解。ザップ!」
「けど、言葉づかいと所作振る舞いはご主人様も軽く野人ですよね、それだから猿人間って二つ名が付くんですよ!」
アンが嬉しそうに僕を見る。なに人を巻き込んでやがる。
「そうね、ザップも参加決定!」
マイが笑って僕を見る。目が笑ってない。これは逃げられないやつだ。
かくして、僕らは毎晩夕飯のあと、マイから人としての礼儀作法を叩き込まれる事になった。
妖精とドラゴンはいろんな所を旅しているので、方言に長けてます。
あと、ザップの歌は某マ○ンガーZの歌の音程です。多分、異世界から来た者が作曲したのでしょう。ザップ達のいた王国にも異世界人は何人かいると言われてます。ザップは過去に1人遭遇してたはずです。
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