番外編SS 荷物持ち異世界召喚される5
「こいつら面倒くさいな」
つい漏らしてしまう。次の部屋に進むと顔が豹に人の体の豹人達が僕らを出迎えた。僕とマイとウシオが前線に立ち戦っているが、奴らはすばしっこくて攻撃が余り当たらない。
「マリー、いくわよ!」
ベルの声がする。
「お前たち、光を避けるのよ!合体魔法!平和な世界極小!」
ベルの声が響き、僕達の後ろから光が飛んでくる。それをかわす。光は部屋の中央で膨れあがり弾け、辺りを包み込む。嫌な予感がして僕とマイは逃げる。マリー達は既に逃げている。
前の部屋に戻るとよく見るとアンがいない。
「ま、満腹ですーっ!」
豹人たちのいた部屋からアンの声がする。満腹?とうとうラリったのか?
豹人達の部屋に戻ると、そこには地獄が広がっていた。ぶくぶくと太った豹人たちが寝転がったり座って腹鼓を打っている。な、なんだ?
そして入り口には丸々と太った角の生えた少女が幸せそうにお腹をさすっている。多分アンだろう。服はドラゴン服だったみたいでジャストフィットしてる。けどあの服って実体ないんだったな。
「マリー、何が起こったんだ?」
「ベルの禁呪だ。全ての生き物を太らせるヤバイ魔法だよ」
「な、なんと……」
なんて無駄で恐ろしい魔法なんだろうか。いままでいろんな状態異常を見てきたけど、これほどえげつないものは無い。
「治癒できないのか?」
「カロリーを消費するしかないかしら」
ベルが僕に笑顔で答える。
「アンちゃん……」
マイはアンを見て恐怖に震えている。アンの可愛らしかった姿はひどいものになっている。どんな美少女も太ったら形無しなんだな……
アンでよかった。マイがこうなってたらと思うとぞっとする。
「ベルって悪魔なのか?」
僕はマリーに問う。
「そうだな、多分それ以下だ。こいつはマジで迷惑をかけるだけの生き物だ。使える魔法は太らせる魔法と、装備を塩にする魔法。あと、う○こそっくりな食べ物を出す魔法だ。よかったら君達が帰るときに連れてってくれないだろうか?」
「いらんわ!」
「いりません!」
僕とマイは即座に却下した。
「マリー、口が過ぎるかしら、太るのと脱ぐのどっちがいいかしら」
ベルがマリーの前で腰に手を当ててぷんぷんしてる。
「脱がす方でお願いします」
「ザップ、なに言ってんのかな?」
「いてっ」
マイが僕の冗談にまた脇をつねる。
「解ったわ!分子分解!」
ベルの手から光が放たれる。
まじか!まじしやがった、おお、巨乳が拝める!
「えいっ!」
マイが僕を押し出して、僕に光が刺さる。
「マイ、なにしやがる」
「ザップが裸になればいいのよ!ばーか」
僕の服が白い粉になって落ちるが、僕は今回は魔王のパンツを穿いている。なんとか裸は免れた。
「うわ、金のパンツ!だっさ」
マイのセリフが深々と僕の心をえぐった。