番外編SS 荷物持ち 異世界召喚される2
「それで、俺の服はどうなったんだ?」
襲いかかった僕が悪いが、どうなったのかは知りたい。
ちなみに僕は収納から新しい服を出して着ている。用心のために、自称魔王のリナから貰った金のパンツも穿いている。今後はいつも穿くようにしよう。僕は気を抜くと裸になってる気がする。
「ベルの得意な生き物以外を分解して塩にする魔法だよ」
マリーが説明してくれる。なんて物騒な魔法だ。ぜひ欲しい。
「その魔法って、俺達でも使えるか?」
「どうかしらね」
ベルが答えて、いつの間にか手にしてる芋を食べる。動物みたいだ。
「ベル、彼に呪文書のコピーをあげれるか?色々協力して欲しいからな」
マリーはそう言うと、空間に開いた黒い穴から机と人数分の椅子を出した。珍しいな収納魔法持ちか。
慣れた手つきでカップとソーサーを出し、ポットを出してコーヒーと思われるものを注いだ。
「良かったら飲んでくれ」
僕達は机につき、コーヒーをいただいた。
「まず、僕達のせいで巻き込んで済まないと思う。ずうずうしいかもしれないが、もし良かったら僕達に協力してくれないか?ここは地下40層でフロアボスのいる階層だけど、降りるなり階段が消えてこの魔法陣が現れた。ここアルゴノートの迷宮は勇者を鍛錬するのが目的の迷宮。多分、君達と協力しろという、迷宮制作者の意思だと思う」
マリーは身振り手振りを交えながら話すが、残念な事に僕の目はその綺麗な顔と巨大な胸に釘付けだった。正直、何を言われたのかあんまり理解できなかった。
「マイ、どうすればいい?」
僕は丸投げた。
「ザップ!女性の胸をそんなに凝視するのは失礼だと思うわ……」
げっ、ばれてーら。
「まず、マリーさん、あたしたちはどうやったら元の場所にもどれるの?」
「ベル、説明たのむ」
マリーも丸投げだ。
「多分この魔法陣を反転させて魔力を注げば可能かしら」
「それなら、あたしたちを元いた所に帰してほしいわ」
「そうしてあげたい所だけど、今は無理ね。どうもかなり強力な魔法陣みたいで、しばらく休ませないとまた使えないみたいなのよ」
「別に強制はしない。その魔法陣が使えるようになるまでここにいてもいいし、ついてきてもいい。好きにすればいいよ」
マリーは僕を見ていたずらっぽく笑う。これは絶対ついてくるって確信してる顔だ。ま、その通りだ。暇してるくらいだったらついて行ったがいい。
「ご主人様は、ついてく気まんまんみたいですね。というわけで、ここから先に進む方法を探すのですね」
アンが話を進める。ダンジョン、フロアボス、冒険者をうずうずさせるには十分な言葉だ。いつの間にか僕らは根っからの冒険者になってたようだ。