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番外編SS 荷物持ちブートキャンプ


「なぁ、ザップ、うちの騎士って弱くないか?」


 ここはドラゴンの化身のアンの部屋。


 カイゼル髭のホモくさいおっさんが口を開いた。


 こう見えてもこの町の領主で、今日炬燵こたつデビューを果たした。なんか同じ炬燵に足を入れてるだけで、水虫とかがうつりそうで嫌だ。


 部屋の中央には掘り炬燵があり、領主は入り口に近い所に座っている。


 一番奥には家主のアンと自称北の魔王のリナが座っている。アンは今日も着膨れていて、ピンクの花柄の角当てをしている。可愛らしい。


 その右には冒険者の魔法使いルルと妖精のミネアがいて、その正面に僕とマイが座っている。領主が来たおかげで今日はぎゅうぎゅうだ。


 気を抜くと、マイにじかに触れるので気を付けている。今日のマイの服は露出高めで、よく着ているチューブトップとショートパンツのセットだ。寒くないのだろうか?それに寒いのなら炬燵に入る前に着込むべきだと思う。


 そういえば、さっき領主が騎士がなんとかって言ってたな。


「お前の騎士の事なんて、どうでもいいから、帰って仕事しろ」


「確かに、そこまでは弱くないが、誰ひとりとしてお前のハーレムメンバーに触れることすら出来ないだろう」


「変な事言うな!誰がいつハーレムなんか作った」


「それで、お前にお願いがある。うちの騎士を10人程鍛えてくれないか?」


「おい、おっさん、会話しろ!」


「お前こそ、人の言うこと聞け!」


 僕は領主を睨む。けど、おっさん見てても気持ち悪いのですぐに目を逸らす。


「という訳でだな、三日間鍛えてもらって、全員俺より強くなったら大金貨10枚、出来なかったら大金貨1枚これでどうだ?」


 領主は気持ち悪い髭をいじっている。


「その勝負、のったわ!」


 マイが手を上げる。やれやれ、しょうがない頑張るしかないか……



 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「あのー、ザップさん、僕達は強くならなくても、退職まで無事に働ければいいのですけど」 


 ここは町の外、10人の騎士のうちの一人が手を上げて爺さんみたいな事を宣った。ゆとりか……皆若く温厚そうな顔で、デブかガリガリしかいない。領主め下から順番に選びやがったな!


「お前らの意思など聞いてない。アン、変身だ」


「はーい」


 アンは駆け出すと巨大なドラゴンに変身する。


「グオオオオオオーッ!」


 アンの威嚇の咆哮で全員気を失った。それを縄で括ってアンに積んで、太古の迷宮へと向かう。


 さあ、祭りのはじまりだ。



 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「領主、済まない、やはり三日で俺達に触れられるようにするのは無理だった」


 三日経ち、僕らは戻って来た。ここは領主の屋敷の中庭だ。


 トレーニングは、まずは魔物のとどめ刺しから始めて、最終的には実戦までは行き着いた。4.3.3の三チームに分けて、僕、マイ、アンで分かれて効率的にトレーニングして、敵が強くなる30層からは合流した。


 食べ物は三食全てドラゴンから揚げ。少女冒険者四人たちから買い取った肉だ。ドラゴンから揚げはスキルを取得するのみならず、より人を強く逞しくする。ドーピングだ。今や10人の騎士たちは全て細マッチョに仕上がっている。


「じゃあ、お前たち、領主に修行の成果を見せてやれ」


「「「イェッサー!」」」


 騎士たちは僕に敬礼する。少し頑張り過ぎたかな?





「ほう、中々出来るようにはなったみたいだな」


 領主は木刀を正眼に構えている。隙が無い、いい構えだ。


「はいっ。ありがとうございます。領主様。では行かせていただきます」


 騎士は、木刀をだらりと下げた、無形の位だ。騎士が動いた瞬間、領主の木刀は弾き飛ばされた。だめだ。まだまだ遅いな。


「え!」


 領主は固まっている。


「遅いっ!そんなのじゃ、領主を倒せてもトロルを一撃でたおせんぞ!そこで腕立て100回」


「はいっ!教官!」


「では、次の奴いけ」


「イェッサー!」


 次々と最弱だった騎士たちは領主の木刀を弾き飛ばしていく。これがドラゴンから揚げの力だ。




「ザップ、なにをしやがった?お金は払う。けど、また頼みがある。俺も修行してほしい……」


 領主は髭も力なく垂れて今にも泣き崩れそうだ。


 追加で大金貨10枚払うというので、領主には10人分の特別メニューを堪能してもらった。


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