表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

134/2098

番外編SS 荷物持ち祭りに行く(続き)


 ただマイを祭りに誘うだけなのに、何故か緊張してきた。


 マイの部屋に行ってもマイはいない。メイドさんに聞くと中庭にいるそうだ。


 中庭に行くと、マイはトレーニング中だった。彼女と少女冒険者四人のうちの1人、戦士アンジュと木の武器で模擬戦的なものをしている。これは少し話しかけ辛いな……


 僕は窓からきりがいいとこまで待つことにした。


「ザップ兄様何をされてるのですか?」


 振り替えると冒険者四人の1人エルフの野伏レンジャーのデルだ。


「うわっ、な、何でもない」


 僕はつい逃げ出してしまった。決してやましい事をしてた訳では無いのに。デルは斥候も兼ねてるので気配があまりしない。心臓に悪い。


 今度はあまり人の来ない二階の窓からマイ達を見つめる。僕は何をやってるのだろうか。ただ、祭りに誘うだけなのに。


 しばらく眺めて、やっと模擬戦は終わった。アンジュがダウンしたからだ。チャンス!僕は中庭に向かって走る。


 マイが見えた所で走るのを止めて、自然に歩いて近づく。う、まだアンジュも一緒だ。2人でどっかに行くみたいだ。


「おはよう、どこに行くんだ?」


「あ、おはようザップ、今から食堂に行くとこ」


「おはようございます。ザップ兄様」


 マイとアンジュが食堂に向かうのについていく。


 食堂につき、僕達は飲み物を頼む。しばらく、たわいのない話をしてたけど、内容は全く覚えてない。


「じゃ、私はいったん戻るっす」


 アンジュが食堂を出る。チャンスだ!


「あ、あのな、ま、マイ、実はな……」


「なあに、ザップ?」


 マイが澄んだ目で僕を見てくる。いかん、意識するとするほど、のどがカラカラになる。


「あのな、実は……」


「おはようございます、マイ姉様、ザップ兄様!」


 声をはずませて、冒険者四人のうちの1人神官戦士のミカがやってくる。


「「おはよう」」


 僕達も挨拶する。


「それで、ザップ、なんなの?」


 マイが僕をじっと見つめる。いかん、やばい、心臓があり得ないくらい暴れはじめる。無理だ、ミカの見てる前では僕には無理だ。


「いや、今はいい。また、あとでな……」


 僕は逃げ出した。


 それからも、何度かマイが一人っきりになるタイミングを狙うが、ことごとく誰か来る。マイって僕と違って面倒見よくてフランクだから、皆に好かれているのだな。多分、誰か来ないどっかに誘わないと、2人っきりで話はできない。邪魔されない所、どこに誘う?僕かマイの部屋しかないか?


「マイ、少しいいか?」


「なによ、ザップ、今日はなんかおかしいわよ」


 ここはアンの部屋、マイは炬燵こたつで読書している。部屋にはアンと。妖精のミネアと自称北の魔王のリナがいる。


「ち、ちょっと、話したい事があるからいいか」


 僕はまた鼓動が早くなりはじめた。


「いいけど?」


 僕は、僕の部屋にマイを連れていった。


 しばらく、緊張して声が出ない。僕はしばらく息を整える。


 廊下に誰も居ないことを確かめて、扉を閉める。


「あ、あのな、ま、マイ、今晩一緒に祭りにいかないか?」


 やった、やっと言えた。


「はい、喜んで!」


 マイは笑顔で答えてくれた。僕は胸をなで下ろす。



 パチパチパチパチパチ!



 部屋の中に拍手の音が鳴り響く。な、なんだ?


 僕達を囲んで、すーっと人影が現れ実体化する。


「おめでとう。ザップ、二人で、お祭り楽しんでね」


 妖精のミネアだ。あと、冒険者四人とアンとリナ、要は皆いる。


 僕は自分でも自分の顔が真っ赤になるのが解った。


「ど、どうして、な、何で?」


「あ、あたしの不可視の力よ、凄いでしょ。ザップがおかしいから、幻体を炬燵において、ずっと見張ってたのよ、ザップって思ったよりチキンね。最後はみんな誘って見守ってたのよ。けど、やっと言えてよかったわ!」 


 僕はその場に崩れ落ちた。晒し者だ……


 結局、祭りには皆で行った……


 

 読んでいただきありがとうございます。


 みやびからのお願いです。


「面白かった!」「続きが気になる!」などと思っていただけたら、広告の下の☆☆☆☆☆の評価や、ブックマークの登録お願いします。

 執筆の励みになりますので、よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ