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番外編SS 荷物持ちと町の領主


「領主いるかーっ!」


 僕は領主の屋敷で声を張り上げる。


 まだ、今は15時位のはず。町の中央にある鐘楼の鐘が鳴らないので、15時半にはなってない。多分まだ領主は働いているはずだ。もしもう仕事が終わっているようだったら、収納の中の死骸をぶちまけて仕事を増やしてやる予定だ。



 正直、これから毎朝、変態領主に起こされ続けるのはつらい。


 メンタル的なストレスのみならず、僕と変態領主はホモカップル認定されそうで怖い。領主はホモではないとは思うが、あのカイゼル髭はホモくさい。


 ホモが悪いと思ってる訳ではないが、僕は女の子が好きなので、そういう誤解は勘弁して欲しい。


 使用人が出てくると思いきや、領主本人が屋敷の扉を開けて出て来る。本当に暇なのでは?


「なんだザップー、俺になんのようか?俺に会いたくなったのか?」


「ああそうだ。お前に会いたくてしかたがない!って言うわけないだろう!その誰得なからみ止めてもらえませんか?」


「悪い悪いついついお前がホモセクシャルという噂を広めてお前のまわりの美女の誰かと仲良くなりたいと思ってな」


「もうそれはいいから、とりあえず屋敷に入れろよ」


 僕は屋敷に上がり込み不毛な会話を打ち切った。


 

 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 



「で、用事はなんなんだ?」


 ここは領主の家の応接室。豪華な装飾品とかも飾ってあるが、けばけばしくて趣味が悪い。正直居心地が悪い。


「毎日巨人の死骸を持ってくる訳だが、そのあとどうしているんだ?」


「ああ、それか、解体して捨てている。アンデッド化したら困るからな」


「そうか、じゃ、まとめて焼却してもいい訳だな?」


「そうした方が早いが、あれだけの量をまとめて焼く場所と方法がない」


「ドラゴンのアンに焼却させよう。あいつのブレスは跡形もなく燃やし尽くすからな」


 と言うわけで、巨人系の死骸のみならず、冒険者ギルドでも持て余している使い途のない素材を集めて、荒野で焼却する事になった。



 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「これみると、しみじみよく倒せたと思うわね」


 マイが魔物たちの死骸の山を見て呟く。


 山から離れて、僕とマイ、領主と数人の護衛の騎士がそれをみている。あと、ドラゴンのアンが僕達の隣でスタンバイしている。


「アン、焼き尽くせ!」


 僕は右手を差し出して号令をかける。


 アンは山のそばに行くと、立ち止まった。


「ゴオオオオオオオオオオオッ!」


 口から吐き出したブレスがみるみる山を消し去っていく。最初からこうしとけばよかった。二度手間だったな。


 領主たちは呆然としてそれを見ている。


「ドラゴンブレス、凄まじいな…」


 領主が絞り出すように呟く。


 しばらくすると、山は消え去っていた。


「アン、俺にもくれ」


 戻ってきたアンの前に立つ。ついでに補充しよう。


「ゴオオオオオオオオオオオッ!」


 アンは僕にブレスを吐く。それをおいしく漏らす事無く収納にいただく。


「あいつは、な、なにしてるんだ?ドラゴンのブレスを嬉しそうに浴びてるが…」


 領主の声が聞こえる。


「魔法の収納にブレスを補充してるのよ、ザップの収納は何でも入るのよ」

 

 マイが答えてくれる。


「凄まじいな……あいつは私を変態領主呼ばわりするが、あいつの方が凄まじい変態にしか見えないと思うが…」


「…………」


「おい、マイ、何で黙る!」 


 僕はブレスをいただきながら、ついつっこむ。


「マイさん、あんなの見限ってこんど一緒にお食事でも」


 領主が低い声でマイに囁く。


「おい、領主マイを口説くな!」


「そうね、行ってもいいわ、けど…」


 げっ、いくのか、マイ……


「けど、何なのかな」


 領主を見るとキリッとした顔でカイゼル髭を整えている。


「ザップが一緒なら!」


 マイは、にっこり微笑んで僕をみてる。やっぱりマイは天使だな。



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