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番外編SS 荷物持ちスパゲッティを食べる。


 今日は遠出して王都に来てる。お金持ちの引っ越しの依頼があって、大量の家財道具を収納に入れて、引っ越し先の屋敷について、今検品が終わった所だ。あとはギルドでお金を貰って少しぶらぶらして帰る予定だ。


 一緒にいるのはマイとアンだ。今回は乗り合いの馬車で来たがしっかり護衛の冒険者も雇ってあったので、盗賊とかの襲撃もなく、無事に到着した。王都に近くなるとなるほど、盗賊とか魔物とかは少なくなる。


 マイはいつものミノタウロスの腰まきをマント代わりにして、ショートパンツとシャツという、いつもながら季節感の無い恰好だ。


 アンは、ピンクのストライプ柄の角当てにぶくぶく着込んでいて、元の体型は見る影もない。


 僕はシャツとパンツとコートという一般的な恰好だ。王都では悪目立ちした過去があるので、目元を覆う仮面をしている。これで僕とはわからないだろう。


「ザップ、何かしらあれ?」 


 マイの指差した所には行列が出来ている。ひらひらな恰好をしたウェイトレスが、行列の整理をしている。先頭をたどってみると、こじゃれた感じのカフェレストランにたどり着いた。


『本日オープン』


 大きな看板にはそう書かれている。入り口のそばには沢山の花が飾られていて、開店の祝辞が飾られている。


「ご主人様、凄い人だかりですね。きっと美味しい料理があるはずですよ」


 アンは目をキラキラさせている。


「ザップー、たまには並んでみない?」


 マイもキラキラした目で僕を見ている。僕は正直、行列とかに並ぶのは勘弁してほしいが、そんな目で見られたらなすすべが無い。


 諦めて行列の最後尾につく。



 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「ねぇ、ザップー、なんかお話しましょうよ」 


 マイが僕の袖を引く。僕は初級魔法解説の本から目を離す。多分、かれこれ1時間は経ってる気がする。


「そうだな、なんの話がしたい?」


「ザップって、今まで女の子と付き合った事あるの?」


「ぶっ、ゴホッゴホッ!」


 僕は何もないのに盛大にむせる。何をいきなり言い始めるんだ、マイは……


「私も、そこの所詳しく聞きたいですね。ご主人様って男性の友人いないですし、もしかしたらかなりのプレイボーイだったんじゃないですか?今も正直、綺麗な女性にばかり囲まれてますし」


 アンも食いついて来た。勘弁してほしい。当然僕は今まで女性と付き合った事もないし、デートすらしたこともない。けど、なんかそれを口にするのは恰好悪いし、だからといって嘘つくのもな……


「それで、どうなの?ザップ?」


「どうなんですか?ご主人様?」


 僕は詰め寄られる。何て言えばいいんだ。


「あ、あの…」


 正直ここまで追い込まれたのは初めてだ。嫌な汗をかいているのを感じる。誰か、誰か助けてくれないだろうか?


「お客様、お席の準備出来ましたよ」 


 僕たちを呼びに来たウェイトレスが天使に見えた。


 品のいい装飾品に囲まれた店内に入りメニューを見ると、おすすめはナポリタンという料理で僕達三人はそれをコーヒーセットで頼んだ。ナポリタンとは異世界の料理らしい。


『おいしい!』


 マイとアンがハモる。うんうまい。トマトっぽい甘いソースに麺が絡まってて肉と野菜がのっている。これなら誰が食べてもおいしいと言うだろう。待ったかいがあったというもんだ。僕達は瞬く間に食べ終えた。そして運ばれて来たコーヒーを口にする。たまにはこういうお洒落な食事もいいもんだ。


「それで、ザップ、さっきの話は?」


「そ、想像にまかせるよ」


 僕の答えに満足しなかったのか、マイはそれからも僕の事についていろいろ聞いてきた。なんかデートみたいだな。僕達はしばらくゆっくりして店を出た。


 また、王都に来たらナポリタンを食べよう。そしたら、今日のデートみたいなちょっと洒落た1日を思い出すと思う。

 

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