番外編SS 荷物持ちのもどかしい夜
騒がしい夕食のあと、僕は歩いてすぐの銭湯に向かう。
僕は収納に必要なものは全ていれているのですぐに行けるのだが、マイとアンは自分の服とかは僕の収納に入れたがらないので、しばし待つ。自称魔王リナは自分の家に帰り、冒険者の少女四人は思い思いに行動している。
マイとアンと連れだって銭湯に向かう途中、走って来た冒険者少女四人と合流する。と言っても銭湯は当然男女別なので、ただ一緒に入り口をくぐるだけだが。
銭湯でお金を払って中に入り、服を脱ぎ体を洗って浴槽に浸かり暖まって出る。かなりゆっくりしてるが、男なので当然僕が一番早い。入り口で待ってるとマイが出てくる。
「ザップ、待った?」
マイは息を切らしている。急いだんだろな。
「いや、今出たばかりだ」
本当に出たばかりだ。アンは長風呂なので、二人で先に帰る。これも日常だ。
「ザップ、手、繋いでもいっかな」
「ああ」
僕の左手をマイが握る。宿までは10分かからないので、僕は出来るだけゆっくり歩く。マイの手は小さくて温かい。マイは何も話さないけど、とっても幸せだ。けどすぐに宿には着く。僕は名残惜しいけれど手を離す。なんか他人に手を繋いでいるのを見られるのは恥ずかしいからだ。
「お休みマイ」
「お休みザップ」
僕らはお互いの部屋に戻る。
部屋にもどり暖炉に火をつけ、部屋を暖める。部屋を暖めたら僕は服を脱ぐ。僕は寝るときは下着とお気に入りのミノタウロスの腰巻きでしか熟睡出来ない体質なのだ。
「あ、そういえば」
つい、独り言を漏らす。そういえば、自称北の魔王リナからパンツをもらったのだった。
僕は収納から紙袋を出して、試着してみることにする。金色のパンツだ。素材は柔らかい。何て言うかひんやりしててすべすべしてる。とりあえず穿いてみる。
うん気持ちいい。僕の部屋には鏡があるので、その前でポージングしてみる。少し太ったかな?
こんこん!
誰かが扉を叩く。
「開いてるぞ」
扉があく。
「ザ、ザップ…何してるの…」
マイだ。僕はパンツ一丁なのを忘れていた。
「し、試着?」
「ごめん、邪魔しちゃったわね、これ、良かったら…」
マイは顔を真っ赤にして、剥いたリンゴを盛った皿が乗ったトレイを机に置いて駆け出してった。
「あ……」
逆に立場を反対にして考えてみる。僕がマイの部屋にリンゴを切っていきました。部屋を開けたら、マイが下着一丁で鏡の前置でポージングしてました。こりゃ逃げるよな……
明日、マイに何て言えばいいのだろうか?思考の無限ループにはまりながら、僕はベッドに入って寝ることにした。
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