番外編SS 荷物持ち除霊しに行く
「これなんかいいんじゃないか?」
僕たち、僕とマイとアンは今ギルドで塩漬けの依頼を物色している。その中で特に報酬がべらぼうなのを僕は選んだ。
「山奥の屋敷の死霊退治……」
マイは見たとたん紙を机におく。
「パース、パス、あたしアンデッド系だけはいやよ」
「じゃあ、しようがないな。俺とアンで行くことにするか」
「ご主人様、よくよく考えて下さい。私とご主人様は物理攻撃特化です。除霊って出来ますかねぇ?」
「難しいな。知り合いの聖職者といえばアンジュのパーティーの神官戦士のミカしかいないな。手伝ってもらうか?」
「ミカって、あの小さくて胸が大きい少女ですよね。わたし的にはご主人様ととってもお似合いだと思います。無口ですしね。それで、マイ姉様は今回はついて来ないんですよね」
「いや、一緒に行くわ。苦手なものも克服しないと!」
僕たちはミカを連れて山奥の屋敷に向かうことにした。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「キャアアッ!ザップー!」
マイが僕に抱きついてくる。現れたのはゾンビ一体。ジャイアントの首を一撃で狩るマイならば、デコピン一発で爆砕できるようなスーパー雑魚だ。
マイは本気で怯えて僕の首にしがみついてくる。柔らかい胸があたって、正直僕も幸せだ。
「ちぇすと!」
神官戦士のミカがメイスで一発でゾンビの頭をぶっ潰す。
「あのー、ちょっといいですか?今日の依頼料って等分って事でしたけど、正直いままで現れたアンデッド達、私一人で倒しているんですけど」
ミカの言いたい事は解る。不公平だよな。
「解った。倒したアンデッドの数で後で割り振りは考えよう」
それから、スケルトン、グール、死霊騎士などいろいろなアンデッドが現れるが、アンは見てるだけ、マイはキャーキャー言うだけで、全てをミカが倒してきた。ひも脱却のために戦いたい所だけど、マイが抱きついてくるおかげで出遅れて何も出来ない。
そして屋敷の最後の大広間。そこにはフード付きのマントを羽織った一体のアンデッドが、鎮座していた。
「キャー!」
抱きついてくるマイをかわし、ハンマーを出して敵に近寄る。振りかざしたハンマーを叩きつける。
スカッ!
ハンマーはアンデッドをすり抜ける。
最後のアンデッド……物理攻撃無効かよ!
「ターンアンデッド!」
ミカの手から放たれた温かい色の光がアンデッドを包み込む。一回瞬くとアンデッドは消え去った。
「キャー!ザップー、怖いいっ!」
僕はまたマイに捕まった。
斯くして、僕たちは全てをミカに持っていかれた。
課題は、物理攻撃無効のアンデッドに僕たちは攻撃手段が無いと言うことだ。
ブルブルしてるマイが僕に抱きついている。
お金にはならなかったが、たまにはお化け屋敷もいっかなと僕は思った。