日記
「お前、よくこんなに調べたな……」
僕は『最強の荷物持ち1巻』をペラペラめくる。僕たちは炬燵の中で、魔法使いルルが書いた僕たちの本を読んでいる。僕は1巻、マイは2巻、ルルは3巻を見てて、僕の対面ではドラゴン娘がクークー寝息をたてている。
「それはですね、マイ姉様に話を聞いたからですよ。マイ姉様は日記をつけてて、昔の事を事細かに記録してるんですよ」
「へぇー、マイが日記かー」
そう言えば、マイが僕の収納を使えるようになるまでは、寝るときに荷物を出してくれってせがまれてたな。なんか寝る前にモゾモゾしていたから、聞いちゃいけない事をしてるのかと思ってたが、日記をつけてたのか。僕にはまだまだマイについて知らない事が多いな。
僕は今まで日記をつけようとか考えた事も無い。あ、いや、そう言えばラパンも日記つけてたような。
「じゃ、マイ、その日記見せてくれよ」
「嫌よ。何言ってるの?」
「という事は、人には見せられ無いような事が書いてあるのか?」
「え、何言ってるのよ。そんな訳無いじゃない!」
おっと、マイの顔がゆでだこだ。図星か? マイが恥ずかしがるような事って何が書いてあるんだろうか? 収納の個人スペースにもし入れているのなら、僕のマスター権限でのぞき見する事も出来る。
「瘴気の金槌、お願い。ザップがあたしの収納の中覗き見しないか見張ってて。もし見ようとしたらすぐに知らせて」
マイは真っ黒の金槌を手にして話しかけている。あ、懐かしい『瘴気の金槌』だ。最近全く使って無いな。
『イエス、ユア、マジェスティ。承知致しました。ザップ様がそのような事をしないようにしかと見守ります!』
頭の中に響くイケボ。これは『瘴気の金槌』の声。まじか、武器までも僕よりマイを優先するのか? 確かマジェスティって女王様って意味じゃなかったか?
「ちょっと、待てよ金槌。お前は俺の味方じゃないのか?」
『確かにザップ様は私の主人ではありますが、私の中の魔王力は最近はマイ様やルル様達からいただいたものが大半を占めてます。ですから、申し訳ございませんが、マイ様の方の便宜を優先させていただいております』
なんと、マイ達はこの外道な金槌を使ってるのか? コイツの能力は瘴気というものをぶり撒くのと、触った者がお腹を壊すとかいう……あ、そうか、便秘解消か! まあ、このことは僕の胸にしまっておこう。
「そうか、頑張れよ。その前に、マイの日記を覗き見したりするわけ無いだろ」
「本当かなー。日記って、その時感じた事とか書いてある訳じゃない。それって今、自分で見ても恥ずかしいから、人には見せられないわ」
マイは赤い顔で僕から目を逸らす。なんか可愛いからもっといじりたい所だけど、そろそろ怒りそうなので止めとこう。
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