表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

110/2097

番外編SS 荷物持ち山椒を求めて意外な人物に会う【前編】


「えーっ!もう担々麺が作れない!」


 僕の叫びが薄汚れたあまり広くない店内に響く。


 僕達は、収納の中の担々麺があと7食になったので、隣町のお店まで補充に来た所だ。アンが食べ過ぎるのだよ、アンが……


「はい、すみませんがザップさん、あと20食分しか作れないです」


 店の主人が申し訳なさそうな顔をする。


「20食か……全然足りんな、それで何で作れないんだ?」


「それがですね、この麺には山椒という珍しい調味料を使っているのですが、ここら辺では栽培していないんですよ。山を越えた所にある町から取り寄せてたんですが、道に盗賊が出るらしく、往来が途切れているのですよ」


「盗賊?大した事ないな。じゃ、俺が取ってきてやるよ」


「ありがとうございます」


 僕らは20食の担々麺をいただいて、山を越えた町に向かうことにした。アンは腹立つことに貴重な担々麺を5食も食べやがった。



 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「お嬢ちゃんたち、抵抗しなければ命だけは助けてやる」


 ナイフをペロペロ舐めながらスキンヘッドの男が前に出て来る。対抗して僕のハンマーを舐めてやろうかと思ったが止めておく。ただの馬鹿にしか見えないだろう。その後ろには屈強な男達が10人前後。こ汚い恰好で手に武器を持っている。


「きゃあああっ!積荷は差し上げますから命だけは勘弁を」


 マイが悲鳴を上げる。んー、ちょっとわざとらしい。6点。10点満点で、可愛いから加点ありだ。


「この娘もつけますから、どうか、どうか命だけはご勘弁を……」


 アンは震えながらマイを前に押し出す。なかなかの演技力だ。どこで学んだんだろう。哀れな少女にしか見えない。押されてマイは御者台から落ちそうになる。


「アンちゃん、何あたしを差し出そうとしてるのよ。落ちそうになったじゃない」


「お嬢ちゃんたち喧嘩はいけねーな。大丈夫二人仲良く可愛がってやるからな。まずは荷物を見させてもらうぞ」


 スキンヘッドは荷馬車の幌を開ける。


「何だこりゃ?」


 荷馬車の中には、いままで収穫した盗賊たち約30名。彼らの持ってた金品等は僕の収納に入っている。人間は入れられないので、やむなく馬車にすし詰め状態になっている。

 今まで、マイとアンの二人を御者台に座らせて街道を進むと、続々盗賊が釣れた。大漁だ。実は彼らは町で犯罪奴隷として売れるのだ。


 ここで僕は馬車の天井から飛び降りる。


「こいつらはお前の同業者だ。観念するんだな!」


 僕は走り収納スキルで武器を奪いながら、超手加減した一撃を盗賊たちに与えていく。殺さないようにしないと、貴重な収入源だからな。


「あとは、お前だけだな」


 僕はスキンヘッドを指差す。


「ザップー格好いい!」


「ご主人様、役者みたいです!」


 マイとアンから声援がとぶ。


 なんか、少しだけ、物語の主人公になったみたいで気分がいい。


「けっ、調子にのりやがって、先生!隠れてないで出て来て下さい!」


「しょうがないな」


 木々の影からのそりと一人の剣士が現れた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ