プデチゲ
「もっと辛くても俺は大丈夫かな」
まあ、そこそこに辛かったけど、僕とアンは辛さに対してほぼ無敵だから、これくらいどうって事無い。それに比べて、導師ジブル、ハイエルフのノノ、黒竜の化身オブは結構参っている。けど、気に入ったみたいでバクバク食べている。
今日のご飯はキムチ鍋。東方の和国の手前にある美韓国、通称韓国の料理だ。赤い辛いスープにキムチ、豆腐、白ネギ、豚肉、シイタケ、ニラに、トックと言われる韓国の餅、あとソーセージが入っている。辛いけどとっても美味しい。トックというお餅は和国のと違いなんかプリプリしている。
「オブ、情けないな。お前もドラゴンだろ。ぐいっと飲めぐいっと」
ドラゴン娘アンはオブには容赦無い。
「アンさん。無理ですって。私はアンさんと違って吐くブレスは熱くないんで、馬鹿舌にはなってないんです。辛いものばっかり食べてたら、微妙な風味の違いとか分からなくなりますよ」
「四の五のぬかすな。黙って飲め」
「熱っ、辛っ。無理無理ですって」
とか言いながらもオブは鍋のスープを飲んでいる。けど、顔は真っ赤だ楽しそうだな。
「寒いと辛い物食べると体が温まるかしら」
ノノはババアみたいな事言いながらチビチビスープを啜っている。あ、コイツはロリババアだったな。
「汗をかくとお肌が綺麗になるのよね」
ダラダラ汗をかきながら幼女導師がなんか言ってる。多分、美容にいいのは適度な発汗だと思う。
「締めは、今日は乾麺です。本場ではそうらしいのよ」
マイはなんかくっついて固形になってるように見える麺をキッチンから持ってきた。そしてそれを鍋に入れる。
「その乾麺ってなんだ?」
「麺を油で揚げたものらしくて、煮たら良い感じの麺になるのよ。魔道都市の特産品よ」
すげぇな、魔道都市。僕の知らないものが沢山あるな。こんどしっかり観光しよう。
あと、マイは麺と一緒に容器に入った粉チーズを持ってきている。
しばらく煮ると、良い感じに麺がほぐれた。カチカチだったのに魔法みたいだな。
「これって、韓国ではプデチゲっていうそうよ。意味は部隊鍋って意味で、韓国に来た他の国の軍人があんまり食べ物が辛いからチーズをいっぱいかけて食べたのが始まりって言われてるわ」
そして、僕たちは麺をよそってもらって口にする。まずはそのまま、そして、次はチーズをかけて食べていみる。ん、あんまり辛く無くなった。辛いものってチーズをかけると辛くなくなるのか。
そして、ジャリ共はやり過ぎなくらいチーズをかけて食べていた。
冬にはキムチ鍋。いいものだ。辛さが体を温めて、みんなで食べる鍋は心を温めてくれる。そう思ったけど、シャイな僕は口にはしなかった。
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