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 ご主人様の弱点


「おい、お前また下着つけてないだろ」


 ご主人様が私の胸辺りをチラ見する。鋭い。ワンピースの上に半纏を着ているからかなり注意しないと分からないはずなのに。

 私の名前はアイローン・ボー。由緒正しい古竜のうちの1体だ。けど、昔の事はほとんど忘れてしまってるからただ巨大なだけの竜だ。


「別に私達は家族のようなもんだから、構わないんじゃないですか? むしろ、ワンピース脱ぎましょうか?」


 私のワンピースは前にあるボタンで止めているから上から1つづつ外していく。ご主人様は真っ赤になって顔を逸らす。なんかマウントとれて面白い。訳が分からないな。ご主人様は私の胸を見たいのに見ない。要は『うぶ』ってやつだな。もう少し攻めてみるか。


「何やってるのアンちゃん。ザップ、あっち向いてて」


 マイ姉様が私の下着を片手に炬燵から這い出してくる。そして慣れた手つきで私の服を脱がして下着を装着する。姉様は人種なはずなのに私より格段に力が強い。理不尽だ。ご主人様は一度もこっちの方を見ない。訳が分からない。人間は裸を見せるのは恥ずかしいらしいけど、何で見る側が恥ずかしがってるのか理解出来ない。そう言えば、出会ったばかりからそうだった。私は昔に思いを馳せる。



 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「ご主人様、ご主人様、戻りました。起きて下さいよ」 


 私は王都で一暴れしたあと、ご主人様に言われて人間の姿になってきた。


「ゲゲッ! 何してる!」

 

 何驚いてるんだろう?


「何してるって、ご主人様の起きるのを待ってたんですよ」


 私は今、服は着てないが、マイ姉様からの言いつけで、胸の先端と股間は隠している。見せたらコロスと言われている。そんな下らない事で殺されたらたまったもんじゃない。


「じゃ、質問を変える。なんで裸なんだ?」


「当たり前じゃないですか。変身したら巨大化するので、着てるものは全部破けますよ」


 アンは小首を傾げる。


「そりゃそうか……って違う、お前魔法で服作れるだろ」


「それがですね、あの勇者に剣で斬られたときに、魔力もごっそり持っていかれたんですよ。服を作る魔法って魔力沢山使うんですよ、一晩寝て回復するまで、使えないですね」


「そうか、しょうがないな……」


 ご主人様は魔法の収納から臭くて汚いボロ布を2枚だして私の前の地面に置く。燃やして焚き火でもするんだろうか?


「後ろ向いとくからこれを着ろ」


 何の罰だろうか? そんな汚いもの纏うのは嫌だな。


「え、なんでですか、私はこのままでもいっこうに構いませんが?」


「俺が困るんだよ! それに裸じゃ街に入れんわ!」


 なんかご主人様はヒートアップしている。不便だな。馬や牛とかは裸で街に入れるのに竜はダメなのか? けど、お腹空いてきたし、言うとおりにするか。


「しょうがない人ですね」


「お前がしょうもないんだ!」


 ご主人様は後ろを向く。私は昔のご主人様の格好を思いだして、ボロ布を首と腰に巻く。これで隠さなくてもマイ姉様には殺されないで済むな。


「お待たせしました。これはご主人様の猿人間スタイルですね」


 ご主人様は振り返ると、目を見開く。何驚いてんだろ?


「胸を隠せ! 胸を! 胸の上に巻け! 馬鹿ドラゴン!!」


 ご主人様は叫び出す。そんなに嬉しかったのかな? ご主人様の目は私の胸辺りに釘付けだ。ご主人様が見たいのなら見せたげようかな? けど、マイ姉様にバレたら多分半殺し以上確定っぽいから止めとくか。


 しばしご主人様は私を注視すると頭をぶんぶん振り回す。大丈夫なのか?


「おい、早く、着なおせ」


 またご主人様は私に背を向ける。


「はいはい、注文が多いですね」


 私は人間の女性の下着みたいにボロ布を胸に巻く。締め付けられてなんかやだな。


「はい、これでいいですか?」


 ご主人様は私を見つめている。そして、目を逸らす、ちらっと見るを繰り返す。もしかして、ご主人様は私に対して欲情しているのでは? それで、それを私に隠そうとしているのでは? なんか訳が分からないけど、人間って面白いな。


「どうしたんですかー、ご主人様? チラチラ私の方を見て?」


 つい、笑みがこぼれる。多分、これはご主人様の弱点だ!


「何でもない。行くぞ……」


 不自然にご主人様は私から目を逸らす。昔聞いたことがある。人間って本当に興味があるものからは目を逸らす事もあるって。誰から聞いたんだったかな?



 読んでいただきありがとうございます。


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最強の荷物持ちの追放からはじまるハーレムライフ ~
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