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番外編SS 荷物持ちの偽物現る


「モンキーマンザップ覚悟!」


 いきなり子供が走って来て、僕の脇腹にナイフを刺す。激しいレベルアップのおかげで、ナイフは全く刺さらなく、僕はナイフの刃を素手で握り潰す。なんか、自分で言うのも何だが、人間卒業し始めてるような……


「なんだ、お前はいきなり?」


 子供は僕を見て怯え泣き始める。


「何があったの?お姉ちゃんに話してみて」


 マイが子供をなでなでする。


 マイが泣きじゃくる子供から引き出した話は、この子の村にモンキーマンザップが現れて、田畑を荒らし、村から食べ物を盗みあげくの果てに、いろんな所にうんこを撒き散らしていったそうだ。両親は襲われて怪我をして、この町にザップがいるということで敵討ちに来たらしい。


「それで、お前の村が襲われたのはいつだ?」


「一昨日だ」


「俺は一昨日はこの町にいた。証言する者はたくさんいる。いきなり襲ってきたのは良くないが、偽物には俺も興味ある。捕まえてやるよ」


「本当に村を襲ったのはお前じゃないんだな?」


「ああ、本当だ約束するよ」


 僕は子供の目を見る。彼は僕を睨む。


「信じてやる。村を襲ったザップを捕まえてくれ」


「いいだろう」


 どんな偽物だろうか?僕そっくりで目つきが悪かったりとか、ただ着てる物だけ真似たコスプレ野郎だったりするのだろうか?うんこ撒き散らすって、一体どんな奴なんだろうか?人間なのか?期待を胸に子供の村へと向かった。



 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「ここだ、ここにまずモンキーマンザップは水を、飲みに来る」


 村に着いて間もなく子供に村の中央の泉の所に、つれていかれる。村人たちは扉を閉めて家にこもっている。


 メンバーは、マイとアンとレンジャーのデルが無理やりついて来た。とりあえずやることもなく、僕たちは話に興じた。


「デル、お前、マイだって最初は泣きじゃくりまくりだったんだよ」


「えー、そうなんですか、お姉様が!」


「そりゃもう、おしっこするときでさえ、僕から」


「ザップ、恥ずかしいからその話はやめよ」


 いかんいかんデルは聞き上手で相づちをうまくうつから、ついつい話すぎてしまった。


「ザップ兄様、何か近づいてきておりますわ、二人、一人はかなり大きいですわ」


 デルの索敵能力はぴか一だ。正直、少女冒険者の中では一番有能なんじゃ。


「モンキーマンザップ様のお通りだ!カスども食いものをだしやがれ!」


「ウホッ!ウホウホッ!」


「何あれ、キャハハハハッ」


 普段そこまで笑わないマイがお腹を抱えて笑っている。


「確かに、ご主人様の特徴はとらえてますね。クククククッ」


 アンもお腹を抱える。


「ザップ兄様、プププッ」


 デルさえも言葉にならない。


 髭面の男と、モンキーマンザップ。偽物は皮の腰巻きに皮のマントに金属の刺のついた鉄球のついたハンマーを装備している。かなり再現性が高い。


 けど、問題は、どこからどうみても、デカイ猿だ。猿人間でなく猿だ。額には大きな魔石がついている。多分魔改造された猿だ。どうして僕の偽物として成立するのだろう。僕はそんなに猿なのか?


「なんだぁ、お前ら。村が雇った冒険者か?ザップ!やっちまえ!」


「ウキーッ」


 偽ザップはお尻に手を当てるとうんこを掴み投げつけてくる。


 どこが僕なんだ?誰がいつうんこを投げた?僕らはかわす。僕以外はつぼったみたいで笑いが途絶えない。当たればいいのに!


「ザップ頑張れ、頑張ったらバナナ食わせてやるぞ!」


 髭面が懐からバナナを出す。


 ぱこーん!


「これ以上、あの猿をザップって呼ぶな!」


 僕のゲンコツが髭面の意識を刈り取った。


 偽ザップの額の魔石は簡単に取れ、どうも髭面のビーストテイマーの支配力を増幅してたみたいだ。本来は大人しい猿みたいなので、山に放流してやった。髭面のビーストテイマーはぐるぐるに縛って役所に突き出してやった。怪我した村人達をエリクサーで癒してやり村を後にした。これで少しは僕のいい噂も流れるだろう。


「ザップ、頑張ったらバナナあげるわよ」


 マイがバナナをふりふりする。


「ご主人様、私のバナナがいいですよね」


 アンもバナナをふりふりしてる。いらんつーの。


「私は、ザップ兄様の」


 デルがごにょごにょ何か言ってる。


 しばらく、猿ネタでからかわれそうだな。僕たちは僕以外笑顔で街道を歩いて行った。


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