ラパンとザップ(再誕)
迷宮都市の迷宮の地下50層。僕、ラパンを含む一行は石化したザップを目の前にして黒竜に苦戦している。
「やるわよ、ラパン、ザップを復活させるわ、10秒でドラゴンを倒して。ラパン、あなたはザップでもラファでもない。消えるかも知れないけどいい?」
妖精が僕に問いかける。聞くまでもない!
「いいに決まってるだろ! 頼むミネアみんなを助けたい」
「わかったわ、ラパン、あたしはずっとあなたのそばにいるから……」
なんか妖精にしてはしんみりな事を言うと、妖精は呪文の詠唱に入った。
「マイ姉様を離せ!」
デルさんが斧でドラゴンの前足に斬りかかるが軽く傷つけただけだ。ドラゴンはぐったりとしたマイさんを口に咥えると、デルさんを前足で切り裂いた。デルさんは血を流しながら吹っ飛ばされる。
「ガッ!」
ドラゴンに噛まれたマイさんが血を吐く。まずい、早く治療しないと!
「ミネア! まだなのか!」
僕は叫ぶ。
「完成よ。世界を覆う魔力よ消え失せろ!」
妖精は飛びだして、その体から強い白い光が漏れ始める。
「魔法なき世界」
妖精から放たれた光が部屋の中央に収束する。そして光が膨れ上がり周りのものを呑み込み始めた。
「ミネアーっ!」
僕は力無く地面に落ちたミネアの方に走る。僕は薄々気付いていた。魔法を打ち消す魔法は魔法生物のようなものである妖精にとっては存在を脅かすものだと。頭をフル回転させる。けど答えが見つからない。白い光が同心円状に全てを呑み込みんでいく。僕はミネアに向かって飛び出す。なんとかその体を掴む事が出来るが光が近づいてくる。どうにかしてミネアを収納に入れる事は出来ないのか試すが無理だった。なんか方法は?
『アダマックス』謎のスキルが頭をよぎる。白い光に包まれ、頭が朦朧とする。
………ラパンずっと一緒だよ………
妖精ミネアの言葉が頭の中をリフレインする…………
僕の心が裂けるように痛い。いや、裂けてるんだ。魔法によって歪に混ざった2つの魂がその触媒が消え失せて、まるで水と油が分離するかのように離れていっている。まずい、気が遠くなる。ダメだ、あと少し……
「……アダマックス……」
その力を解放する。そうか、これは魔法。古竜との契約による古竜魔法。
『……我が権能はた不毀。何者も害する事能わず……』
だれがの意思? 古竜アダマックス?
ミネアに手を伸ばし触れる。そこに力を流し込む。その効果を出来るだけ長くするために僕の持つ魔力を全てつかう。固くなったミネア。これって物質なのでは? 咄嗟に収納に入れる。ここで終わり。少しづつ意識が白む。僕からザップが抜け落ちた。僕は誰? ザパンの記憶をもつラファ。けどもう僕はラファじゃない。ザップの記憶とスキルを引き継いだ僕は昔とは全く違う。
……僕の名前は、ラパン・グロー……
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