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 格闘道場


「うん、いいわ。じゃ、明日そこで」


 マイはそう言うとスマホを切る。


「ん、どうしたんだ。明日何かあるのか?」


 僕はマイに問いかける。ここはアンの部屋。真ん中の炬燵に僕とマイとアンと冒険者の巨乳魔法使いルルがいる。


「そう言えば最近、デルの格闘技講座やってないでしょ。久々に開催しようと思ってるんだけど、最近少し寒くなってきたでしょ。それで屋内を探してたんだけど、なんかデルが王都に道場建てたらしいのよ」


 まじか、最近見ないと思ったらそんな事してたのか。


「マイ姉様、そこは止めた方がいいですよ。デルが拾って来た凶暴なガキがしこたまいますよ」


 ルルが本から目を離し会話に加わってくる。


「何言ってるのよ。凶暴って言っても子供でしょ?」


「まぁ、そうですけど、私も何度か行ったんですけど、行く度に酷い目にあいましたよ」


「子供達って元気だからね。じゃ明日はお菓子いっぱい持っていこ」


 と言う訳で、明日はデル先生の格闘技講座イン王都のデルの道場となった。




「あんま、ここら辺って治安よくねーよな」


「そうですね、ご主人様以外みんな場違い感ハンパないですね」


「最近言うようになったな。これはファッションなんだよ。古着を馬鹿にするな」


「まあ、確かに似合ってると思うけど、もう少し綺麗なのにしましょ」


 僕はマイとアンにカジュアルファッションをディスられながら歩いている。ちょっと気張り過ぎたみたいだ。後ろにはマッスル黒エルフのレリーフと、変態子供族ホップのパムも付いて来ている。今日の訓練予定地のデル道場を目指している。


 そこまで治安が良くない一角にそぐわな白い塀に囲まれた建物。塀の上には瓦屋根があり、東方情緒がある。入り口を見つけると大きな門で、木の大きな表札に『森人格闘術』と書いてある。頑丈な木で出来た両開き門扉には手が輪っかを握った型のドアノッカーがついている。東方建築で良い感じなのに、ただドアノッカー1つが全てを台無しにしている。このちょっとした常識のズレが、なんていうかデルらしい。門の中からは子供の可愛らしい声で『えい』『やぁ』とか声がする。

 僕は悪趣味なドアノッカーを叩く。


 ゴンッ、ゴンッ。


 意外に大きな音がして、しばらくして扉が開く。


 中庭の奥に東方風の建物。道着で佇むエルフの麗人デルの後ろに碁盤の目みたいに綺麗に並んだ道着姿の子供達十数人。ちっちゃい子供ばかりだけど、よく教育されてるんじゃないのか?


「我が道場によくいらっしゃいました」


 拱手するデル。


「「いらっしゃいました!」」


 続く黄色い声。


 少し気圧されながら門をくぐる。扉が自動で閉じる。子供が開いてくれたのか。


「「突撃っ!」」


 ん、突撃?


「こらっ。お前たち止めなさいっ!」


 デルの声虚しく、子供達がワラワラと僕たちに群がってくる。数人の子供が僕にしがみついてくる。なんと、今までの人生でこんなに子供に懐かれた事はない。猫には逃げられるのに。

 痛っ、いま明らかに男のシンボルに一撃食らったような。くそ、ケツ、ケツを触るな!


「止めろ! 止めろ!」


 コイツら明らかに僕を倒しにきている。纏わり付きながら、ピンポイントに急所に一撃くれてくる。見渡すと、みんな同じ感じだ。子供達に蹂躙されている。相手が子供ゆえに反撃出来ないみたいだ。マイなどくすぐったいのか哄笑を上げてるし、レリーフなど亀のように丸まっている。着膨れてるアンは何枚か服を剥かれている。パムは見えもしない。


「止めなさいっ。お前たち。ご飯抜きにするわよ!」


 デルの言葉も届かない。クソッ耐えるしかないのか?


「大人しくしろ! クソガキ共っ!」


 アンの怒号が辺りを震わせる。切れたな。声に威圧効果がのっている。


 その一声で、子供たちは恐慌状態になった。泣く者、気を失う者、粗相する者。地獄、地獄だ……アン、やり過ぎだろ。


 そして、見渡すと、立ってるのは僕たちだけ。みんな服ボロボロで目が虚ろだ。


「すみません。うちの門弟たちが」


 デルが頭を下げる。


「元気な子供たちでなによりじゃないか。それにしても、みんな古着みたいだ。おそろいだな」


 気が利いた事言ったつもりだけど、マイにはキッと睨まれてスルーされた。そして、その後、なんとか子供たちをケアして、僕たちも道着に着替えて修行した。それからも子供たちはパワフルで、僕たちは翻弄されつづけた。保育園児かよ。









 読んでいただきありがとうございます。


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最強の荷物持ちの追放からはじまるハーレムライフ ~
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