ガチャの迷宮(中)
「俺が6枚、マイが5枚、ジブルとアンが3枚づつか……」
僕たちは、お互いに手に入れたメダルを見せ合う。宝箱から手に入れたメダルは計4枚でみんなで分け合い、ラスボスのオークキングのドロップしたメダルも4枚でみんなで分け合った。あとは個々で倒した魔物のドロップでほぼみんな同数倒したのに僕が1番ドロップした。日頃の行いの賜物だろう。
「みんな、よーく考えるわよ」
導師ジブルが切り出す。
「私が集めた情報ではSRでも価値はピンきりで外れたら金貨1枚くらいの価値しかないものが当たる事もあるらしいわ。逆にNでも価値があるものが当たる事もあるらしいわ」
うーん、運否天賦って事か。けど、さっきの冒険者たちは大当たり引いた訳だしな。ここの迷宮は敵は弱かったけど、とにかく広くて、攻略に3日もかかってしまった。ボス部屋の所に帰還のワープポータルがあったからすぐには帰れるが1人頭最低でも金貨3枚くらいは稼いどかないと割が合わない。
「ねぇ、ジブル。ガチャ1回お金で大金貨10枚って事はこのメダルは売れるって事よね」
マイがジブルに問いかける。換金も考えてるのか。さすがマイ。堅実だ。
「そうね。時価だけど、今はだいたい金貨3枚くらいで取り引きされてるみたいよ」
「じゃ、売ったら金貨15枚くらいにはなるって事ね。じゃあ、あたしはみんなの結果を見て引くか引かないか決めるわ」
「私は、引きます。食料召喚1択でっ!」
鼻息荒いドラゴン娘。相変わらずブレないな。僕もコイツくらい単純になりたい。
「私も引くわ。スキル召喚なんてものがあるのよ。多分古竜がかかわってそうだけど、スキルなんてそう簡単に手に入るものじゃないわ」
「俺もいく。まあ、途中でいいの引いたら残りのメダルは売るけどな。けど、10連召喚R確定ってなんかお得感あるよな」
僕はガチャを観察するように近づいてメダルを1枚突っ込む。
「ファーストアタックいただき。まずは魔道具召喚じゃい!」
なんかの本で読んだ事がある。ツイているというのは、良い方に確率が偏ってる状態だと。例えばサイコロを振るとして1の目が出るのは満遍なくではなく、偏るもんだと。さっきSRが出たという事は、まだ近くにSRが眠ってる確率が高い! 魔道具召喚のボタン、単発召喚のボタンを押してレバーを引く。
「来いっ!」
僕の鼓動が早くなる。光れ! 魔法陣っ!
ん…………
魔法陣がしょぼく青く光る。コロンと何かが床に落ちる。駆け寄って拾う。
「あ、魔石ね。その大きさだと銀貨1枚かしら。まあ、一応魔道具の部類に入るっちゃ入るかしら」
僕の手のひらの上の小指の先ほどの小石をジブルが覗き込む。
ノオオオオーッ!
大金貨3枚の価値のメダルが銀貨1枚の価値に……