ラパンとザップ(重なる心)
『ザーーーーーーップ!』
あたしは叫ぶが声が出ない。目は見えるけど体が動かない。失敗、魔法は失敗したの? いや、半分成功半分失敗。ザップの魂はこっちに来たけど、あたしの魂が出て行ってない。あたしの頭にザップの記憶が流れ込んでくる。まずい、このままだとあたしとザップの魂は1つになってしまう……
一瞬気を失っていたのだろうか? 目の前には石化したマイとアンがいる。僕は咄嗟に駆け出し射程に入れて2人を収納に入れる。良かった石化した者は収納に入れれるんだ。
『マイさんとアンちゃんもこれで大丈夫かも。ザップ、ザップの思考が流れ込んでくる。体の主導権はザップが握っている。それなら上手く行くかも。あたしと比べてザップは強い。身体能力が落ちたとしても、そのスキルは使える。反則のような魔法の収納、あり得ないほど高められた剛力のスキル。あといくつも多分スキルをもってるはず』
「やはり魔法ではそう簡単に導師を倒せんか……やむを得まい。私の真の力を見よ」
アカエル大公の体が弾ける。再び巨大なダークドラゴンが現れた。
「ゴオオオオオオオオッ」
口を開き漆黒のブレスが僕達に襲いかかる。避けられない。
『ザップ、よけて! けど、あたしの体は運動オンチだわ!』
「アアアアアーッ!」
僕の全身に痛みがはしる。身に纏っているものがすべて燃える尽きる。エリクサーをかけ続ける事で何とか命を拾っているが、このままだと千日手だ。
『すごい、ドラゴンのブレスが効いてない。さすが秘薬エリクサー』
僕の腕を何者かが大きく引っ張る。見るとジブルだ。全身から白煙を上げている。
「退却します」
ジブルのもう片方向の手はミケと繋いでいる。ミケはもう片方の手に妖精を握っている。
ラファがいない!
『あたしは大丈夫』
「まて、ラファが!」
『ザップ逃げて』
「レスキュー!」
『さすがジブル。話が分かるわ!』
ジブルは僕の言う事が聞こえていないのか、魔法を発動した。
『聞こえてるよ、敢えてザップのためにむししたのよ』
辺りの景色が歪み、視界に光が溢れる。
地下50層で僕が最後にみたのは巨大なドラゴンの横にそそり立つ岩の槍で、その上には石化した人物とみられる影……
『あれは抜け殻、あたしの中にザップがいるなら大丈夫……』
次の瞬間には、僕達は朝みた景色、タワーのロビーにいた……
『良かった。ザップの魂だけでも助けられて。あたしが消えて、ザップがあたしの体で生きていけばいいわ。あたしはザップに助けてもらったんだから……』
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