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 ラパンとザップ(従兄弟)


 あたしたちが迷宮を進んでる時に、いきなり攻撃してきた、アカ兄様は去って行った。1つ疑問は、ドラゴン騒ぎがあったのにも関わらず、兄様たちがここに来た事だ。この時この疑問についてしっかり考えとけば良かったと後悔したのは、ずっと後の事だ。


「ふう、いなくなったわね。何なのあれ、ぶっ倒した方が良かったんじゃない?」


 マイさんがザップの方に走っていく。


「いいえ、これで良かったと思うわ。大公はこの街の魔術師協会、要するに、タワーのトップよ。やり返したら、私達が犯罪者になるわよ」


 ジブルの言うとおり。魔術師協会会長という役職は強力な権力を持つ。


 ザップは手頃な岩に腰掛け武装を解く。


「ですけど、先に手を出したのはあっちですよ」


 アンちゃんの言う通りだけど、多分、兄様はあたしたちを言葉通り試しただけだと思う。


「いや、訓練だとか何とか言われたら、大公の言うことが正しくなるわ。それにあたしたちの上司にあたるから、冒険者ギルドも内輪もめには口を挟まないわ」


 騎士ミケもそばの岩に腰掛ける。そうなのね。この街で力がある冒険者ギルドでも魔道士ギルドには介入出来ないのね。


「それで、いったいあいつは何者なの? 変な骨なんか被って。あと少しで、あたしぺちゃんこになるところだったじゃないの!」


 妖精がプンプンしている。怒った顔も可愛らしい。


「だから、大公だって」


 ミケが答える。


「大公って何よ」


「王族の領地持ちの貴族です。魔術師協会の会長で、あたしの従兄弟です」


 あたしは簡潔に説明する。


「魔道都市アウフの第二位王位継承者、ラファ様の足が治らなかったら、王になるはずだった方よ」


 なんかジブルの言い方にはトゲがあるような。


「え、じゃあ、ラファの命を狙ってるんじゃないか?」


 まさか、ザップの口からそんな言葉が出るとは……そんなはずは絶対に無いわ!


「ザップ、アカ兄様の事を変に言わないで、確かに服の趣味はジブル並みに変かもしれないけど、迷宮都市でエリクサーを見つけようと言いだしたのは、兄様なのよ。それに、自分の足でも探してくれてる」


 あたしの言葉にジブルが憮然としている。自覚ないのかなぁ?


「それに、大公にラファの事ばれたんじゃないか?」


「多分気付いてないよ……最後に会ったの5年前だから」


 あたしは兄様を見たけど、一瞥もされなかった。


「まあ、次に会わない事を祈るよ。けど、タイミング良すぎないか?」


「これよ」


 ジブルが右手を突き出す。そこには指輪、レスキューの指輪?


「この魔道具で私達の位置はいつでも協会からは解るわ」


 え、何それ。まあ、協会だからいいけど。さすがにもう兄様が襲いかかってきたりはしないと思う。


「捨てよう!」


 ザップがジブルの指輪を取ろうとして全力で抵抗されてる。なんか仲いいな。けど、あれはめっちゃ高額だから捨てるならあたしが貰おう。


「ザップ、ジブルを虐めないの!」


 イチャついてる2人をマイさんがどうどうして止めさせる。やっぱりマイさんは最強だ。  


「マイ、ジブルから地図を受け取れ、これからは最速攻略だ!」


 ザップは真面目な顔に戻ると、収納からハンマーを出して歩き始めた。


 なんか、楽しくなると思っていた迷宮探索なのに、なんかスッキリしないわ……

 


 読んでいただきありがとうございます。


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