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 姫と筋肉 告白


「んー、あんまいいのねーや」


 僕は掲示板に一通り目を通して後にすることにする。なんだよ雑用ばっかじゃないか。まあそうだよね。冬になると冒険はぐんと減るから少しでも稼ぐために冒険者達は働きまくっている。朝一から並ばないと割りがいい討伐系は難しいのかもね。ギルドも今日はガラガラだ有名どこのパーティーは全て出払っている。


 僕の名前はラパン・グロー。ウェイトレスにして冒険者にして元お姫様という属性ごった煮の者だ。悩みは自己紹介で肩書きを何にするかだ。やっぱ冒険者だと思うけど、それじゃなんか面白みにかけるんだよね。

 まあ、わざわざ来たけど、今日は最近人気のカフェに行って、服でも買って帰るか。お金には余裕あるし。僕たちのお店は儲かってるからお給金が高いんだよね。普通に生活する分にはお釣りがくる。けど、冒険者してるのはちょっとした贅沢品を買うためだ。魔道都市に売っている便利な魔道具って高いんだよね。


「見つけたぞ! ラーパーン!」


 野太い声、僕は腕を掴まれる。誰だ?


「何だよ! レリーフ!」


 振り返ると、2メートルを超える巨漢。マッスル変態黒エルフのレリーフが僕の腕を引っ張って引きずって行く。


「お前に話したい事がある。重要な話だ。人に見られるとまずい」


「な、なんなんだよ。重要な話って。お前、僕の意志は関係なしか?」


 僕は踏ん張って止める。やっべー、レリーフ見た目以上にバカ力過ぎるだろ。


「いや、お前にも関係ある。どこが人が来ないか」


 何だろう。こんな真剣なレリーフを見るのは初めてだ。人に聞かせられない重要な話? しかも僕にも関係がある? そこで頭にとある考えが浮かぶ。も、もしかして、この朴念仁のレリーフが僕に……いや、もしかしてレリーフは僕の事……僕は抵抗せずにレリーフについていく。しばらく歩いて僕は意を決して口を開く。


「ちょっ待てよレリーフ。確かに僕たちは知り合いだけど。なんて言うか、そういうのは。まだ、早いって言うか……」


「ここでいいか。いでよドラウグル。通路を塞げ。何人たりとも通すな」


 現れた3体の黒騎士が駆け出す。いつの間にか僕らがいるのはギルドから少し離れた路地裏の袋小路。なんかゴミのようなアンモニア臭のようなものさえする。コイツ、一応王族である僕をなんてとこに連れて来てるんだ。デリカシー皆無。プンプンだ。まあ、そうだ。コイツはそうゆうヤツだもんな……


「おい、ラパン。顔が赤いぞ。薄着過ぎるんだろ。お前も一応女なんだから腹巻きでもしろ。腹巻きはいいぞ。腹が冷えなくなる。下痢しにくくなるぞ」


「するか! 馬鹿っ!」


「まあ、私には暖かい腹筋があるから微塵も寒くないけどな」


「知るかっ! 聞け! 話を!」


 いかん。頭に血が上る。顔が赤いのはそのせいだろ。


「で、話ってなんだ?」


「まあ、黙って見てろ。『闇より出でよ、道半ばにして倒れし人の子の戦士よ。スケルトンウォーリア』」


 レリーフが片手で印を組みもう片方の手で床に立ったまま魔方陣を描く。地面に一瞬金色の魔方陣が光りそこから骨の手が生えてくる。そして、身を引きずり出すように1体のスケルトンが現れる。


「ほぅ、これが人に聞かせられないような大事な話か? 確かに人前ではアンデッドは出さない方がいいな。じゃ帰る」


「おいおい、何怒ってるんだ。本番はここからだ。『闇より出でよ、道半ばにして倒れし豆の子の戦士よ。豆ウォーリア』。さっきの呪文の『人』を『豆』に変えてみた。人のアンデッドはスケルトン。なら豆のアンデッドは……」


 さっきと同様に魔方陣が光り、なんかツブツブな手みたいなものが地面から湧き出す。道半ば倒れた豆って何だよ。それより豆ウォーリアってなんなんだよ!

 モリモリと地面から湧き上がる茶色いツブツブの塊。糸引いてるし。もう分かるよこの匂い。


「なんと、納豆になるんだ」


 スケルトンウォーリアが自分の頭を砕いて差し出す。いい案配に皿みたいだ。それでレリーフは納豆を掬う。あ、このスケルトンってレリーフの食器なのか……無理無理。


「これで、もしかしたら、世界の食糧問題が解決するかもしれない。食えラパン」


 満面の笑みでレリーフは納豆が乗ったスケルトンの頭蓋骨だったものを差し出す。タヒねばいいのに!


「食うか! ボケッ!」


 僕はレリーフに一撃いれて、帰りに八つ当たりに黒騎士をボコってやった。


 風の噂では、例の納豆はレリーフ以外は激しい食中りを起こしたらしい。当然だろう……



 読んでいただきありがとうございます。


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最強の荷物持ちの追放からはじまるハーレムライフ ~
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