表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

104/2093

番外編SS 荷物持ち英霊と見える【前編】


「お金が無い!」


 炬燵こたつの中で僕は叫んだ。最近あまりお金になる仕事もなく、炬燵でごろごろ、唐揚げパクパクであまりよろしくない。少し太った、いや現実を見よう、かなり太った気がする。


「大丈夫よ、ザップはあたしが養ってあげるから」


 マイが僕に微笑む。個人的な好みかもしれないが、マイはかなり可愛い気がする。


「ザップ兄さん。それって『ひも』ってやつですよね」


 新たな炬燵の住民、巨乳魔法使いルルが毒を吐く。デフォルトで胸を炬燵のテーブルにのっけてる。ついつい目が引き寄せられる。新手の挑発なのか?


「ザップー、そんなに大きな胸が好きなの?」


 マイが真面目な顔で僕を見る。


「いや、決してそんなことはない。そいつがこれ見よがしにテーブルにのせてるからつい目がいってしまうのだ」


 個人的にはマイくらいの大きさの方が好みだ。けど、それは恥ずかしくて言えない。


「ザップ兄さん失礼ですね。私も好きで乗っけてる訳じゃないんです。こうすると肩こりが軽減されるんですよ。それともザップ兄さんが下からおさえててくれます? それならのっけるの止めますけど」


 マイとアンが僕を睨む。確かにそこはかとなく魅力的な提案だけど、命の危険を感じる。


「解った。悪かった好きなだけのっけとけ。もうこの話は止めよう。それより、『石巨人の迷宮』は休眠状態に入ったし、どっか稼げる迷宮はないか?」


「ここら辺なら、あたしたちの『原始の迷宮』しかないわ」


 いつから迷宮が僕たちのものになったのかは知らんが、マイの一言で、懐かしの迷宮に行く事になった。



 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「ぐうっ! 負けた……」


 僕は大地に膝をつく。勝ったのはマイだ。マイは僕からミノタウロスのハンマーを受け取ると嬉しそうに走って行った。



 地下30層からは部屋の前でジャンケンして勝った者が僕のハンマーで魔物を狩るというルールにした。メンバーは僕、マイ、アン、少女冒険者4人だ。

 恐ろしい事に、誰ひとりとして僕のとっても重い巨大なハンマーを振るえない者はいない。なぜ得物が僕のハンマーかというと、経験値取得補正が1番高いからだ。



 マイが意気揚々と引き上げてくる。


「やっぱり、まだまだね、キングは1撃で倒せないわ」


 マイは金色のスキルポーションをエルフのデルに渡す。


「デル。剛力のスキルポーションよ。飲みなさい」


 デルは技術はかなり高いのだが、腕力不足はやや否めない。


「え、マイ姉様、無理です。そんな高額なもの。私、結構強くなりましたし……」


「デル、うぬぼれないで。あなたが1番力が弱いわ。ミノタウロス1匹も素手で1撃で倒せないでしょ。それにここではお金は意味ないわ。強くなることだけ考えなさい!」


 マイが言い放つ。なんか見た事あるような光景だな。


「マイ姉様。おいしい、おいしいですぅ」


 デルが涙を流しながらポーションを飲む。これも見た事あるような光景だ。


 地下49層、最後のミノタウロスカーニバルはマイの手によって終わったので、あとする事はエリクサーを補充して帰るだけだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ