パラダイスハンバーガー
「なんだこりゃ。すげーな」
今からランチ。僕たちの目の前にはハンバーガー? が屹立している。皿の上に開いた紙に挟まれていて、ハンバーガーの真ん中には頭に花の飾りがついた串みたいなのが刺さっている。これでハンバーガーがばらけないようにしてるのだろう。ハンバーガーの具材は激しく、まるで塔みたいだ。観察すると、お肉以外に目玉焼、ベーコン、パイナップル、ピクルス、レタス、トマト、チーズが入ってる。豪華過ぎるだろ。
「マイ姉様、これ作ったんですか?」
食いしん坊ドラゴン娘がヨダレを垂らしながら口を開く。かく言う僕ですら、口を開くとヨダレ垂れそうだ。お肉が焼けた暴力的な匂いに負けそうになる。
「ううん。これ、ラパンちゃんから送って貰ったの。ラパンちゃん、今、常夏の島ハウハウに行ってて、これ、そこの名物料理なのよ。パラダイスハンバーガーって言うらしいわ。特徴は焼いたパイナップルが入ってるのよ」
僕は今まで、ハンバーガーってものは食べた事がある。正直好物だ。特に中に入っているピクルスが好きだ。ピクルス単体で食べても美味しいとは思わないけど、ハンバーガーに入ってるのはなんかとっても美味い。なんか焼いたパイナップルが入ってるってのはいただけないな。僕はご飯系に甘いものが入ってるのは許せないたちなんだ。
「マイ、これってどうやって食べるの?」
見た目幼女、頭の中は変態の導師ジブルが口を開く。見た目は可愛らしいから品が無い事は言わないでほしいものだ。
「こんなでっかいのどうやっても口に入らないわ。こんなにでっかいの口に入らないわ」
「おい、何回も言うな。なんか下品だ」
「え、じゃあザップは口に入るの?」
「私ですら、ドラゴンに戻らないと無理ですね」
アンが大口を開けている。当然、どう見ても無理そうだ。
「しょうがないわね。これって、ピンを抜いて、このバーガーペーパーで包んで上からギュッと潰すのよ。そしたら口に入るようになるわ」
マイは僕たちの前で実演してくれる。そうか、ハンバーガーについてる紙って何の役に立つのかと思ってたら、こういう使い方するのか。しかも辺が2カ所くっついてるから汁とかがこぼれたりしないな。
僕たちはマイに言われたとおりにハンバーガーを潰す。塔みたいで綺麗だったのでなんかもったいない。
「「いただきます!」」
僕はハンバーガーに噛みつく。なんだこりゃ。ハンバーガーってこんなに美味いものだったのか? ジューシーな肉汁にシャキシャキしたレタスとトマトそれにこれでもかとぶっ込まれたケチャップとマスタード。目玉焼きの黄身がとけて食べるたびに違った味のハーモニーが口に広がる。それに焼いたパイナップルの味はその旨みを全く邪魔しない。うわ、これは美味すぎる。
僕たちは一言も声を発さず一気に食べてしまった。バーガーペーパーが有ったにもかかわらず、みんな顔と手がドロドロだ。
「マイ、すっげー顔だぞ」
「ザップだって」
「ご主人様も、マイ姉様も食べるの下手ですね。私なんて綺麗なものですよ」
「けど、お前、鼻についてるぞ、どうやったらそんな所につくんだ?」
「まあ、ハンバーガーってそういうものでしょ」
一番顔を汚しているジブルがまとめる。うん、けど、そこがいいんだな。
「けど、美味しかったわね。今度うちでもつくりましょ」
次はマイが作ってくれるのか。そりゃ楽しみだ。かなり魔改造されたハンバーガーになりそうだ。
それにしても、ハンバーグもいいけど、ハンバーガーもいいものだな。
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