フィッシュステーキ
「ん、マイ、今日の昼飯作るの手伝おうか?」
僕はキッチンのマイに話しかける。ここしばらく働き詰めだったので、今日は休みだ。休みなのにも関わらず、マイは食事を作ってくれる。僕には出来る事は少ないが出来るだけ手伝いたいと思う。
「ありがとう、ザップ。じゃあ、サラダにドレッシングかけて持っていって」
言われた通りに、持って行って帰ってくると、マイはお魚を1センチ位の厚さに切っている。
「ん、魚? 何の魚?」
「これ、シャケと言う魚よ。秋シャケと言って秋になるとよく獲れるのよ。とは言っても王国では獲れなくて、これはリナちゃんから貰ったのよ」
ん、と言う事は、かなり珍しいものなんじゃないか?
「秋シャケって、シャケって魚は川で生まれて海を回って、また卵を産むために生まれた川に戻ってくるんだけど、その戻ってきたシャケなのよ。卵を産むために栄養を使ってるから、身に脂が少なくあっさりとしてるから、お昼ご飯にいいかなって思って」
「すげぇな、川から海に行ってまた戻ってくるのか。泳ぎが苦手な俺には無理だな」
「あ、そう言えば、今年もザップの泳ぎの練習しなかったわね」
「それは、また、今度と言う事で……」
マイは魚を切り終わり、塩を振り、次はコンロにフライパンをかける。
「ザップ、今日はフィッシュステーキよ。ソースはタルタルソースと、ニンニク醤油を用意してるわ」
そう言うとマイはフライパンに油をひいて、温まるのを待って、魚の切り身を入れていく。ジューッと美味しそうな音がする。そして、切り身を裏返すと、なんかの液体をフライパンに入れて蓋をする。
「今入れたのなんだ?」
「白ワインよ。こうやってお酒で蒸し焼きすると、身がふっくらになるのよ。目玉焼き作る時に水入れたりするでしょ」
そっか、なんか目玉焼き作る時にマイがフライパンに水入れてるの見た事があるが、蒸気で蒸し焼きにしてたのか。けど、一つ解る。ぶきっちょな僕にはこのテクニックはまだ早そうだ。
「はい、完成!」
「え、早いな」
「蒸し焼きにすると、下からも上からも火が入るから早いのよ」
「そうか」
奥が深いな。なんか手伝うって言ってたのに、何の役にもたってないような……
そして、料理を運び、みんなを呼びに行く。
「「「いただきます!」」」
お昼ご飯は、サラダとパンとフィッシュステーキ。
ステーキを口にする。表面はパリッとしてるけど、中はとろけるようにフワフワだ。これが蒸し焼きの力か。あっさりとしてるけど、塩がしっかりきいていて、そのままでもソースをつけても美味しかった。
僕たちは、マイのフィッシュステーキにかなり満足した。
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