テレキネシス(後)
「さすが魔王と呼ばれるだけあるな。この私が気圧されそうになったぞ。そうだな。力比べと言えば相撲。相撲で私と勝負しろ!」
巫女服の少女が、天下の往来で僕に相撲を所望している……
相撲を取るのにはやぶさかではないが、なにぶん人の目が多すぎる。華奢な女の子とこんな所で組んずほぐれつ相撲を取れば明らかにロリ変態の誹りを受けるだろう。
「お前、ミスティックって言うのは魔法職なんだろ? 物理で決まる勝負は俺に有利すぎる。もっとなんて言うかお前の良さを生かす勝負をしないか?」
「私の良さを生かす勝負? 可愛さ?」
「おいおい、お前自己評価高すぎるな。鏡を見てみろ。自分で思ってるより可愛くない顔が写るぞ」
あ、ショック受けてる。言い過ぎたか?
「それに可愛さ勝負だったら、戦う前にお前の勝ちだ」
「え、あたし可愛い?」
今度は照れている。なんだコイツチョロすぎだろ。そんなんじゃ変な男にすぐ捕まるぞ。
けど、なんか面倒くさくなってきた。
「そうだな。じゃ模擬戦でどうだ? 相手に武器を当てた方が勝ち。丁度いい事にここに相手を怪我させない武器がある」
僕は前に買ってたハリセンを2つ出す。そして1つ差し出す。まあ、これならこの娘を怪我させないだろう。
「いいだろう。その勝負受けてやる!」
少女はハリセンを手に構える。ほう、雑魚かと思っていたが、そこそこには戦えそうだな。少女はハリセンを右手で構え、左手は胸元で人差し指を立てている。変な構えだな?
僕はゆっくりとハリセンを正眼に構える。
しばし、少女と僕は対峙する。なにやってんだろうか? 人垣の中、真面目な顔でハリセンを構える、僕と巫女少女。間違いなく今僕は晒し者だ……
はよ終わらせよ。
「いくぞ!」
僕はハリセンを振り上げ振り下ろすが、少女の左手が動いたと思ったら、途中で見えない何かに当たったかのように逸らされる。また少女の左手が動く。次は踏み込んだ足が見えない何かに払われる。目の前にハリセンを片手で振り上げる少女。振り下ろされたハリセンをかわすが途中で不自然にその軌道が変わり襲いかかってくる。
「うおっと!」
空中にポータルを固定し、それを蹴って後ろに飛び退りかわす。何だ? 何をされている。
「フフッ、ザップ。凄いだろ。これはミスティックのスキル『念動力』。私は意思の力で色んなものを動かす事ができ……」
すばーーーん!
「隙ありっ! 俺の勝ちだな!」
ドヤって能書き垂れている少女に最速の一撃が綺麗に決まった。
念動力、恐ろしい力だった。少女がもう少し賢かったらやばかったな。
「うう、酷いですぅ」
蹲る少女を尻目に僕は帰途についた。
時間なくて、後で書き足すと思います。
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