テレキネシス(前)
「あいたっ!」
なんだ? 今日は植木鉢か……通りを歩いてた僕の頭が土まみれになる。ワシャワシャとそれを払う。
なんか最近やたら頭の上になんか落ちてきたり、変なものに躓いたりするな。
ツイてないのかな?
バチ的なものが今になってあたり始めているのか?
思い起こすとバチあたりな事しまくっている。子供の頃はひもじくて神様へのお供え物を食い散らかしたり、最近では場所によっては神として崇められている古竜の飯をかすめ取ったり、神話で恐れられている黒竜を枕にしたり、そう言えば、神の使いとも言われる天使と言う名のウォーモンガーを大量虐殺した事もあったな。
うん、バチあたるわこりゃ。本格的に今度お祓い的なものでも試してみるか。
「うおっ!」
次はツルンと足が滑る。んー、なんでこんな所に馬糞があんだよ。さっきは無かったぞ?
ん……
道の脇のミカン箱に目がとまる。なんか最近やたらミカン箱見るな。歩いてミカン箱の横を通り過ぎ振り返る。ん、明らかにミカン箱の位置が変わっている。という事は新手の刺客か? あのミカン箱が僕に何らかの攻撃をしてるのかもしれない。僕は収納のポータルを放ちミカン箱を収納に入れる。
「くっ、見つかってしまったか……」
箱に隠れていた少女が立ち上がる。と言う事は、ここしばらく僕が街を移動してるのをミカン箱に隠れて付いてきてたのか? 気配が雑魚だ。こりゃ気付かないな。
「我こそは、当代一のミスティック。ウズメ・サンジョーなるぞ。邪悪の化身ザップ・グッドフェロー。いざ尋常に勝負!」
黒い髪に黒い目。腰まで伸ばした髪の毛を後ろで1つにまとめている。白い前で合わせる道着みたいな服装に赤いダボッとしたパンツ。たしかあれは東方の巫女衣装と言うヤツ。絵で見た事があって、1度はマイに着させてみたいと思っていた服だ。
「ほう、もしかしてお前がしょうもない嫌がらせを俺にかましてくれてたのか?」
僕はゆっくりとウズメと名乗った少女に近づく。
「そうだと言ったらどうする?」
少女は後ずさる。
「んー、どうしょっかなー? まあ、勝負って言ってたから受けてやってもいい」
けど、この少女と何を競い合っても負ける気がしない。どんな愉快な勝負を仕掛けてくれるのだろうか?
「そうだ。今まで、お前の命を狙っていたのは私だ。貴様を倒して最強の名を譲り受けてみせる」
雑魚巫女少女は拳をフルフルしながら大声を上げる。何があったのか野次馬が集まり始めた。こりゃ、イジメ過ぎないようにしないと、また変な噂が広まってしまうな。
「ちょっと、その前にミスティックって何だ?」
僕は疑問を持ち越さないようにしているのだ。
「お前、そんな事も知らないのか? 和国が誇る、『神秘魔術』の事だ!」
「神秘魔術?」
なんだそりゃ?
「そうだ、神秘魔術だ!」
「で、それ何なの?」
「それはだな……敵に自分の能力を説明する奴がいるか! 今から体験させてやる」
今、明らかに説明してくれようとしたよね。ま、今から披露してくれるのか。
「では、勝負を始めようか。お前がその方法を考えろ」
僕は少女と対峙する。少女は、一歩二歩と後ずさる。
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