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 秋の星空


「なんか、秋の空って明るい星が少ないな」


 僕たちは討伐依頼を終わらせてホームタウンに帰っている所だ。ジャイアントマッシュと言うお化けキノコの部位採取で、それが見つからなくて思ったよりも時間がかかってしまった。夜の街道を南に向いて歩いている。辺りに光るものは星だけでいつもは見えないような暗い星もみえる。暑くもなく寒くもないちょうどいい温度なので、風そよぐなかゆっくりと星明かりの下歩いている。飽きたら走る予定だ。


「そうよね、夏は天の川がよく見えるし、冬は、オリオン座がキラキラしてるけど、なんかもの悲しいわね。空も秋って感じね」


 マイが言う通り、秋になると草とか枯れ始めたり、木の葉っぱが落ち始めたりしてなんか物悲しい。それで夜空まで寂しいとなると、なんかしんみりしてしまう。


「けど、秋って最高じゃないですか? キノコは美味しいし、いろんな木の実もなるし、イノシシは美味しくなるし、いいこと尽くしじゃないですか?」


 ドラゴンの化身アンがブレ無い事を言っている。ほんとにコイツの頭の中は食べる事だけだな。


「けど、お前、その秋が終わったら、また炬燵こたつから動かない生き物になるんだろ。今年はしっかり働けよ」


「そうですね、なんか寒くなくなる魔道具を手に入れてきてくれたら考えます」


 なんで上から目線なのかは知らんが、コイツ今年も炬燵ドラゴンになる気まんまんだな。


「それはそうと、本当に星少ないな。なんか1つポツンと明るいヤツ光ってるだけだし」


「あれはフォーマルハウト。南の魚座って星座の星よ」


 マイは物知りさんだな。僕は星を見てもその名前を調べようとは思わんぞ。しかも覚えにくい名前なのに。


「南の魚座? なんで空に魚なんだろうな?」


 僕は素朴な疑問を口にする。


「そうよねー、なんで魚なんだろう?」


「そりゃ、ご主人様、星空って海みたいだからじゃないですか?」


 アンにしては気が利いた事を言う。確かに夜の海っぽいな。


「けど、あの星、どう見ても魚に見えませんよね」


 確かに、なんか星座って神様とか英雄とかの名前がついてるけど、その型に見えた事ないよな。


「なんかー、魚の話してたら、お魚、食べたくなってきたですね」


 やっぱりアンはアンだ。


「それより、見てみて、ほら、おっきな四角の星あるでしょ。あれってペガサス座よ」


 首を上げてマイが指差した方を見ると、確かにでっかい四角い星並び。


「たしか、ペガサスって羽根が生えた馬だよな」


 星の事は知らなくても、魔獣系の事なら僕も知っている。


「そうよ。王都にはいないけどペガサスに乗ったペガサスナイトが山の方の国にはいるらしいわね。あたしもペガサスに乗って空を駆けてみたいわね」


 確かに。僕らは魔法の絨毯には乗った事があるが、ペガサスは無いな。ペガサスナイトって言葉はなんかいいけど、魔法の絨毯に乗った絨毯ナイトって言うとなんか残念な感じがするな。


「そうだな、1度は乗ってみたいな。それより、四角だよな? どう見ても馬には見えないんだが?」


 僕たちはしばらく四角の星並びを見つめる。馬はどこにもいない。


「あ、分かりました」


 アンがポンと手を打つ。


「ペガサスに乗るには『しかく』がいるって事ですよ」


 しばらく静寂につつまれる。虫の鳴く声だけ響く。


「そっかー、資格がいるから四角なのか……つまんないわ!」


 僕がツッコむしか無かった。


「ご主人様、あの星に向かって走りましょう!」


 走り始めたアンを僕たちは追っかける。言わなくて、良かった。僕も同じ事思いついたんだよね。


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最強の荷物持ちの追放からはじまるハーレムライフ ~
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