しゃぶしゃぶ
あらすじや、人物紹介などもあったので、大体1000話と言う事で、美味しいもののお話です。ステーキが多かったので、今回はしゃぶしゃぶです。ぜひ皆様も美味しいしゃぶしゃぶを。
「それでは今から、しゃぶしゃぶパーティーを始めます」
マイの言葉に全員が拍手する。なぜか今日は意外に沢山集まった。
僕の家の住民、マイ、アン、導師ジブルに黒竜王の化身オブとハイエルフのノノ。少女冒険者4人と、隣の店『みみずくの横ばい亭』のメイド服のウェイトレス、魔道都市の王女のラパン、元聖教国の大神官シャリー、元盗賊都市の暗殺者のピオンとパイ、臨海都市シートル出身の猫耳の獣人ケイ。あと、妖精のミネア。どうでもいいけど、メイド軍団って大陸のあちこちから集まってるな。今日はしゃぶしゃぶパーティーって事で、お店はアルバイトの人達が接客している。北の魔国アシュガルドの魔王リナ達は忙しいそうで不在だ。もっとも、しゃぶしゃぶ食べるためだけに、迷宮都市から駆けつけている、少女冒険者4人の方が感覚がおかしいんだと思うが。
ちなみに『しゃぶしゃぶ』というのは、東方から伝わった料理で、沸いているお鍋にお肉をくぐらせて食べる料理だ。簡単な料理に思えるが、マイ言うにはかなり薄いお肉じゃないと美味しくないから、貴族でも食べた事がある者は少ないという。
その名前の由来は、どっかのお店で、従業員がたらいの中で布をすすぐ様子が鍋の中で肉をくぐらせる様子と似ていることや、その際に立つ水の音によるものだと言う。これは勉強大好きな導師ジブルが調べて来て、さっき長々と蘊蓄を披露していた。
テーブルの上の魔道コンロに火が付けられて、その上にドーナツ型の鍋が乗っている。その中には昆布という海草と、茶色い液体で満たされている。中はウーロン茶と言うお茶で、それには脂っこさを抑える働きがあると言う。そして、お肉が運ばれてくる。豚と牛の薄切りだ。牛肉はロースとモモ、豚肉はバラとロースだそうだ。あとお野菜も運ばれてくる。白菜と水菜だ。それにお豆腐も入っている。
お湯が沸いた所でマイが立ち上がる。
「それでは、食べ方ですが、お箸でお肉を一枚もって、1、2、3、4回くぐらせて、タレにつけて食べます。NGは、一度に沢山お肉をつけると、鍋の温度が下がったりとかで、お肉の旨みが抜けたりするのでお勧め出来ないです」
まだピンク色のお肉をマイがタレにつけて食べる。タレはゴマダレと、ポン酢だ。
食べたマイの顔がパッと明るくなる。おお、マイがそんな顔するほど美味いのか!
「すみません、先に一口いただいちゃいましたけど、それでは、いただきます」
「「「いただきます!」」」
僕のテーブルには家のメンバーがいる。特にアン、強敵だ。けど、アンとオブの前にマイが小分けした野菜が置かれる。
「2人はお野菜食べないとお肉はなしです!」
2人とも何も言わないと肉しか食わないからな。フッ、可哀想に。けど、僕は肉を次々にしゃぶしゃぶして口に入れる。臭みが無く、甘く感じる。牛肉も美味しいけど、個人的には豚肉の方が旨みが強いような気がする。ゴマダレもいいけど、ポン酢の方がお肉の旨みがよくわかる。
そして、鍋1個だと足りない事に気づき鍋を増やして食べまくった。当然アンが肉をごっそ入れてマイに叱られてた。お酒も少々いただき、席チェンジなどもして、楽しく時間は過ぎて行った。しゃぶしゃぶ、お肉は焼く物と思っていた僕の前に新たな道が開けた。
読んでいただきありがとうございます。
みやびからのお願いです。「面白かった」「続きが気になる」などと思っていただけたら、広告の下の☆☆☆☆☆の評価や、ブックマークの登録をお願いします。
とっても執筆の励みになりますので、よろしくお願いします。