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第201話



不思議な感覚だった。

そこは何もかもが灰色に見える世界。




まるで時間を止めたかのように、

空気が重く、そして無音だった。




これはなんだろう。

俺は自分に問いかける。



もちろん答えは出ず。


俺の目には、

ただ最悪の光景が映し出されていた。


アリシア。

そして彼女に深々と突き刺さった翼竜の爪。

苦痛に歪むその表情もはっきりと見える。



そして彼女はゆっくりと、

そのまま崩れ落ちていく。



俺は彼女の名を叫ぼうとする。


だが声は出ず、

そして身体も動かない。



俺の脳裏に、

ヒナタを失った記憶が蘇る。



俺の全身に悪寒が走った。



いやだ。


俺は咄嗟に手を伸ばし、彼女の名前を叫ぼうとする。

だが身体が動かない。



いやだ、いやだ。



ヒナタに続き、アリシアまで失うなんて。



いやだ、いやだ、いやだ。



俺は無意識のうちに、

ただがむしゃらに魔力を集束した。


身体は動かなかったが、

ただ右手だけが熱く燃えるような感覚がした。



なぜそうしたのかは分からない。


ただ、身体が、心が、


そうしろと告げていた。


俺は俺の中の魔力に、

その身を委ねる。



そして―――――――



〈時よ〉



俺は魔力を開放した。


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