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大魔導師の死

ある世界で、魔王が暴れていた。その時、女神が異世界より勇者を召喚し、才能あるものたちを従者とした。従者は大魔導師アルバース、魔法剣士ヒース、聖女アーリィ、狩人マリー、魔法使いリーシャ、騎士アリアリアの五人。ここに勇者を加えた六人で。魔王討伐の旅をすることになった。


「…なぁ、ヒースや、もし、もしもだ、彼女らの中で一人しか助けられないとしたらどうする?」


柄にもなく真剣に、目の前の男に問う。個人的には、異世界より召喚された勇者より、この純朴な青年のほうが好ましい。自己満足でしかなかろうが、自分のできる限りのことはしてやるべきだとも考えている。だからこそ、こうして禁法を使ってまで、やれることをやっているのだ。


「え…師匠、どうしたんです?冗談って訳でもなさそうですよね…?」


困惑したようにしているが、真剣に考えている。


「うーん…一人しか、だったらリーシャかな?、アーリィは口約束で結婚の約束までしてて、やっぱり大切だけど、妹のリーシャを何よりも大切にしてるし、多分自分かリーシャを選べた言われたらリーシャを選ぶと思う。マリーは妹でやっぱり大切だけど。親もいなければ村で疎まれてた僕達だし、悲しむのは僕とリーシャだけ…うん、ご免なさい、やっぱり無しで。そんな意地の悪い質問しないでくださいよ師匠」


「…悪かった、必要だったんだ。済まんな」


起動させていた禁法を解除する。時に干渉する魔法で、対象者の未来に対する最適解を導くことのできる魔法だ。これが禁止されている理由は、複数人が使用すると、酷いときは辻褄合わせで国家が複数消滅し、人が十万単位で死ぬからだ。勿論、相応に魔力を消費するため、一般的には生け贄を複数使用することも理由のひとつではある。私は生け贄を使わずとも使用できるが。


聞けばこの兄妹の親は、不貞の挙げ句殺しあったとかで、村では後ろ指刺される存在であったらしい。同じく勇者に同行する村長の娘である姉妹が気に入って構っていたが、それを止めようとする輩も多かったそうだ。聞く耳を持たなかったらしいが。


「ヒース、恐らく、お前には、魔王討伐とは別に、辛い出来事がこの先待っていると思う。だが、折れるなよ」


「師匠?」


ヒースは何かを察したようである。信じられないという顔、だが、私は明日、死ぬ。


「お前は、俺が面倒を見たヤツの中じゃ一番、才能がある。聞けば剣の才能だってあるそうじゃないか。お前は強い、だからこそ、弱い。自分の弱味を自覚して、そこだけはなんとしても守りきれ、絶対にだ」


これが、最後になる。そう思うと、上手く伝えることのできないものが多いものだ…。イヤになる。ひねくれて交流を絶っていた時期もあるからか、人付き合いというものは苦手だ。


次の日、大魔導師アルバースは魔王の幹部であるデーモンロードとの戦いで死亡した。

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