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俺の使命  作者: LAST STAR
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第二話

時は遡り、最悪な日が訪れる二十四日前――――。

つまり、同年 一月二日。


その日俺たち、三賀ミガ家の三人はX市にあるA家電量販店に来ていた。

その目的は大型のテレビと録画用のデッキを買うことだった。


なんでも父のボーナスが入ったらしく、初売りに乗じてテレビの買い換えと録画用デッキの購入を強く母が父に迫った結果、父が折れてここに居るといった経緯だ。


しかし、新年早々だというのによく買いに来る客も居るもんだ。

通りには多くの車が行きかっている。

「こんなクソ寒い日なのにご苦労な事で」

俺はそんな事を独りでに考えながら、父と母の後に続いた。


俺としてはこんなところで買い物をするくらいなら、家に居てゲームをしていた方がよっぽど、楽しい。


ただ、今日は父も居るわけで「行くぞ!」と言われて「行かない!」なんて言えない。

そんなこと言ってみろ……。


お前はテレビを見るないんだな?とキレられちまう。

挙句の果てには話題がすり替わって成績不振の件を穿り返されたり、態度が怠けてるなどなど……グチグチ言われかねない。だから、それを回避するために居たくも無いこんな所に俺は居るわけだ。


どうか察してくれ……はぁ……。


まぁ、俺の身の上の話は良いとして今、思い返せばこの買い物自体がすべての始まりだったと思う。


再び、時は経ち、同年 一月二十二日


買ったテレビとデッキが届いた。その時、母は熱と寒気、頭痛に見舞われていた。

医者にはまだ、行ってはいないかったが、どうせ風邪かインフルだろうと高をくくっていた。


母は熱さましシートを張りながら、搬入を見届けて居たが、体調が優れないため俺と途中でバトンタッチした。

「ごめんね……ダッチ……」

「いや、大丈夫」

そう、言い残して母は布団へと戻っていったのだった。


あ……そういえば、俺の紹介が出来ていなかった。申し訳ない。

自分で自分を”紹介しよう”と言うのも些か変な話だが……。


俺の名前は三賀ミガ 大輔ダイスケ。中三で高校受験を目前に控えた受験生だ。

趣味はゲーム。他の趣味なんて一切無いから聞かないでくれ。


あ~ただ、上辺上の趣味は卓球や読書することです!っていうことにしてある。

一様、雑魚底辺の卓球部員として名が通っていたから卓球好きってことにしてあるのだ。


え~っと、後は交友関係かな?

友達は数人居る。でも、全員が上辺だけだから友人とは言えないだろう。

人間、誰しも裏切るし、影では陰口をグチグチ言いやがるので俺はそういう奴らを徹底的にチクって潰してきたので今は友など居ないという感じだ。


はぁ……すまない。虚しいから話を戻そう。


あ、ちなみに、母が俺を呼ぶときに”ダッチ”と呼ぶ意味は未だに分からないけど……。

予想はつく。大輔の”大”と子どもイコール”チビ”ということでダッチなんだろう。


まぁ、普段なら”大~”と呼ぶんだけどね?


そんな母は二階で布団に入り、家事なんてできる状態じゃなかった。

だからと言って、俺も父もできる事は少ない。俺に至っては米もとげないし、洗濯機すら回したことも無い。ましてや、包丁なんて持ったことすらもなかった。


え? 何で家事をした事が無いかって……そりゃあ、俺がしなくても母がしてくれるからだよ。


うん。この当時の俺はそんな感じだった。もちろん、父とて同じだ。


父はその当時、営業マンでそれなりの地位に居たこともあって全然、家の事なんて知らないわけで「男は外で働き、女は家を守る」という感じだった。


そんな地位に居た事もあってか、父はイライラしていた。

「なぜ、俺が家事をしなきゃならん? お前の仕事だろ!」といった具合に……。


母は、そんな父を見て言いづらかったのだろう。

その日。つまり、二十二日だけは市販の薬を飲んで我慢していたようだ。

母はその時、「どうせ、風邪だし大丈ブイ!」みたいな感じでピースをしていたほどだった。


だが、その次の日

もっと具体的に言えば、二十三日の二十一時過ぎ――――。


母が高熱を出したのとコメカミの痛みを訴えたため、急遽、父が夜間当番医へと車に母を乗せ、向かったのだった。


父は、具合が悪い事を母が黙っていた事にご機嫌斜めだったが、俺はそれを見て「言ったら、言ったで自己管理が甘いとか言うくせに……」と心の中で思いつつ、黙って父の車を見送った。


結局、母の診察結果は何だったかというと……インフルエンザだった。

母は、帰ってくるなり医者から処方された吸引型の薬を服用して熱にうなされながらも床に入った。


俺と父は少なからず、この様子を見て医者に掛かったからもう大丈夫と考えていたんだ。

だって、医者というのは人を治すプロだから。


しかし、その翌日の二十四日――――。


母はまたしても高熱、激しい頭痛に悩まされていた。

特に頭痛が激しく、昨日よりも両側のコメカミがズキズキと痛むと訴え、父が帰ってきた後、再び医者に掛かることとなったのだった。


その日、病院から父と母が戻ってきたのは真夜中だった。

さすがの俺も心配で起きていたのだが、父が言うのには門前払いを食らったらしい。


医者が言うには「インフルエンザの薬というのはですね、効くまでに時間が掛かるんですよ。そんな、何回も来られても困るんですよね……? 二日、三日様子を見てからきてくださいよ!」とのことだったらしい。


父は「せめて、診察だけでも……」と言ったらしいが、「インフルエンザはインフルエンザですから!」という具合で威圧的に「診たところで同じだ」といわれたらしい。


まぁ、医者が言うならそうなのだろう……。俺と父はそこで納得してしまったのだ。


今、思えばここが最大のミスだった。

そうとも知らず、その夜は更けていった――――。


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