誕生と消滅ー電脳世界の始まりー
電子前10年10月31日(水)
午前10時31分
この時、彼女、
田山電子は、
額に、雷のような模様をつけて生まれる。
父 田山電撃
母 田山パルス(たやまぱるす)
旧姓名 パルス・ボルトァニャス・ラピューター
ここは、田山電撃がプログラムしたレントゲン機材
の納入がなされた、病院施設「ボルトーラ記念総合病院」
※【電子】「ちなみに院長は、パパの叔父様なのですぅ!」
産声が響き渡った、
「オギャー・・・。オギャー・・・。」
分娩室から出てくる看護師ロボットと赤ちゃん。
後の「電子」であった。
看護師ロボットは、無機質な音で、
「ブ・ジ・
ウ・マ・レ・マ・シ・タ・
カ・ワ・イ・イ・
オ・ン・ナ・ノ・コ・
デ・ス・ヨ。」
電撃はパルスの方へと
赤ちゃんを抱いて歩み寄り、
肩に、そっと手を触れながら
パルスの手を握りしめて、
【電撃】「ありがとうパルス、
この子を産んでくれて」
すると突然分娩室のアラームが鳴り響き
「警告!警告!
母体の損傷が激しく
人体構造組織が機能
していません。
手術成功率1%」
【パルス】「あなたっ・・・もぅ・・・
私はダメ・・みたぃ・・・。」
【電撃】「ダメだまだ逝くんじゃない!
逝かないでくれーーーーー!
名前はどうすればいい!?」
【パルス】「・・・電子がいいゎ・・・。」
【電撃】「電子かっ・・・良い名前だ」
「pーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー-」
そう言い残したパルスは、帰らぬ人となってしまった・・・。
【電撃】「パルスゥーーーーーーーーーーーー!!」
※【電子】「パパはここで「人」であることを、
辞めてしまったのでしょうかぁ?」
それからあっという間に10年が過ぎ、
この世界は、電脳世界に、
移行した、その時代を、
人工知能達は「電子歴元年」
とプログラムした・・・。
電子歴元年10月31日(火)午後10時31分
この世界は、全て家畜管理システムの元
人工知能達が稼働している。
それらを統括している人工知能の
擬似人格の名称は「ボルトァニャス」
通称「パルピューター」
暗い箱の中に熱を逃がすファンの音が響き渡る・・・。
「ブゥーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ」
それは、耳を完全に塞いで、声にだす感覚のようだ。
ここには、「天才プログラマー」の父を持ち、
彼女もまた、「天才プログラマー」であり、
その腕前は、5歳で国防のファイアーウォールを
ハッキングしてしまった程のパラレル幼女だった。
【電子】「風さんが気持ちぃですぅ」
まだ彼女は圧縮データのままである。
【電子】「まだかなぁ」
「早く誰でもいいから
私に気づいてぇーーー。」
そこに電子に近づく黒い影が現れた。
【電子】「あっ・・・パパ。」
【電撃】「アップロードしたたけでは、宣伝しない限り、
受け身なだけだと思うぞ電子。」
電子は、顔を俯かせながら、やかんのようになり、
【電子】「・・・ッダッ・・・ッダッ」
【電撃】「ダ?」
【電子】「誰のせいで、
こんな世界になったと
思ってるんでしゅかぁ~~~!!」
頭脳はブラックホール並みに学習能力があるのに、
口調は案外お子様な電子であった。
迎えに来るのは光か、闇か、
待ち受けるのは希望か、絶望か、
次回「設計と設定ー父親を改造ー」