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2017年/短編まとめ

惚れた方が負け、とはよく言ったもんだ

作者: 文崎 美生

抜けてるところはあるし、目を離したらすぐにいなくなるし、掃除と洗濯は出来るけれど、料理の腕は食材が可哀想だと思ってしまうくらいだ。

それなのにお菓子作りだけは得意で、困っている人がいたらなりふり構わずに走り出してしまう。

リードか何かつけておいた方がいいんじゃないの、なんて笑いながら言われたこともあるけれど、冗談ではなく本当にそうした方がいいかも、なんて最近はちょっと思ったりしてる。


決して悪気があってやってるわけじゃない。

彼女はいつも本気で真剣なのだけれど、それが空回りしてしまうことも多々あり、トラブルメーカーとして扱われてしまうことも多かった。

「よく付き合ってられんな」「俺には無理だわ」口の悪い友人からよく言われる言葉も、当然、耳にタコだ。


時々、俺もぐったりしてしまうというか、何で付き合ってるんだろう、と考えてしまう時もある。

彼女には申し訳ないけれど、これは素直な気持ちだ。


でも、その度に、彼女が太陽みたいに笑っている姿や、俺と喧嘩した時に大声で泣きじゃくる姿。

朝起きた時に見る猫みたいに丸まって、俺にくっ付いて寝てる姿とか、出来ないなりに努力してご飯を作ろうとしている姿とか、日常の中に散らばっている彼女が頭を巡って――ああ、それでも好きだな、と再確認する。


今も、ほら。


俺がそんな風に思考を回してぼーっとしている隙をついて、頬にキスをしてくる姿だって、イタズラが成功した子供みたいに笑う姿に、心臓がぎゅっと締め付けられている。

柔らかな唇の当たった頬を撫でながら、なんだかんだで俺は、彼女には敵わないと思う。


惚れた方が負け、とはよく言ったもんだよ、本当にね。

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