【2-7:第7号機グラウザー】
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機体名 :グラウザー
形式№ :APO-ZXJα-G001
機体構造:“高強度単純化内骨格+柔構造外骨格”
基本素材:“6元アルミ合金(Γ128チタン複合)”
“超高張力ナノマテリアル合成レザー”
“超微細ナノセル人造スキン”
“発泡性ダイヤモンドセラミックス”
主動力源:プラズマハートユニットVer2
(出力変動制御型パルス駆動マイクロ核融合炉心+MHD発電ユニット)
“高スピンエネルギードライバー”
駆動源 :“電動性人工筋肉(電圧動力線+制御信号線分離駆動型)”
中枢部 :“クレア頭脳”
“マインドOS”
“マルチパーパス超高速データベースエンジン〔エンジェルレイヤー〕”
“大規模高速ネットワーク対応情報管制システム”
“人工脊椎システム”
“戦闘プログラム独立起動システム(別名:BOシステム)”
身長高 :170cm~190cm
重量 :89kg(非戦闘一般任務時) 113kg(非常戦闘時)
所属 :品川管区広域管轄型所轄署・涙路署捜査課
基本任務:一般捜査活動、犯罪制圧、対機械非常戦闘、テロリズム制圧
責任者 :身柄引受:涙路署署長・国浦 弘三
指導監督:涙路署捜査課課長・今井 槙子
指導監督補佐:涙路署捜査課刑事・朝 研一
開発責任者:第2科警研・大久保 克巳
所有銃 :STI 2011 パーフェクト10
・護身/威嚇/非常攻撃用、10mオート弾を使用。対人用では火薬を減らした減装弾。対機械戦闘では高速徹甲弾を使用する。そのため、常に2種類の弾を異なるマガジンに入れて携行している。銃種は指導監督補佐役の朝刑事の指導によるものである。
特殊機能:
1)2次装着装甲「オプショナルアーマーギア」
・基本概念はフィールのオプショナルギアと同じである。しかし、大きく異なる点は、装甲としての防御力が強化されている点と、通常は分厚いバイカー風ジャケット風に偽装され、必要に応じて変形/自動装着される点である。
超小型の金属マイクロマシンの結合体でありグラウザー自身から発せられる高圧マイクロ波のガイドレール信号をトレースしながら、解体/再結合して自動装着する仕組みになっている。また収容携帯から活動形態へと再結合する際に大気中の窒素や二酸化炭素などと結合することで実体積を増やす機能も有している。そのためアーマーギアの通常の偽装形態と、アーマーギアとしての展開形態とでは重量・体積ともに増加している。
主要素材は6元アルミ合金や高発泡性ダイヤモンドセラミックスなど。
部分装着のフィールの物と異なり、全身をくまなく覆うプロテクトスーツスタイルで頭部や顔面も完全に覆うため、その装着状況を知る者からは『変身した』と形容されるほどである。
基本構造として――
基礎基礎防御力と身体能力を増強するアンダースーツ部と、
防御用装甲と攻撃武装収納を行うプロテクター部に別れる。
アンダースーツ部は――
①衝撃吸収層〔グラウザー本人の身体に密着するゲル状の保護層で外部からの衝撃を吸収分散すさせる〕
②バイパス神経回路層〔アーマーギア内の全メカニズムに張り巡らされた神経回路網で全機能の情報伝達を行い、グラウザー自身の感覚を拡張し反応速度をアップさせる〕
③身体能力増強層〔アーマーギアのパワードスーツとしての動力部で装着者のパワーを倍加させ、スピード面でも飛躍的に向上させる〕
④保護防御外皮〔防弾防塵防爆の機能を持ち、熱・毒物・酸・アルカリなど外部からの浸潤を防ぐ。亀裂や破損が生じても短時間に自己組織化による修復が可能〕
――の4層からなる。更にこの上に身体各部にプロテクター部が装着される。
プロテクターは――
①頭部ヘルメット〔鋭角的な角状の通信アンテナを一対(2本)持ち、頭部を完全に保護、さらには視聴覚を強化する電子アイ/高精度音響センサーを装備〕
②胸部・背部アーマー〔装着車の胸部と背面の脊髄部分を防御するための強固な分厚いアーマー。対戦車ライフル程度なら簡単に弾く〕
③ショルダーシールドプロテクター〔両肩に装着される大型のショルダーアーマー、装着者の肩よりも更に大型であり、内部に攻撃用武装の各種電子装置や動力装置が内蔵されている〕
④ハンドガントレット〔肘から先を完全に防御するガントレットスタイルのグローブプロテクターで、近接格闘における攻撃力を維持出来るだけの硬度と握力を生じさせる。さらにはグラウザーの腕部に内蔵された武装の機能を補助する役割もある〕
⑤レッグレガートブーツ〔大腿部の中ほどまでの長さのロングブーツスタイルのレガートアーマー。防御力増強だけでなく跳躍力・走力を強化し近接格闘時の攻撃力を強化できる〕
――の5つのパーツからなっている。
装着時間に制限はないが、アーマーギアの起動にはグラウザー本人の戦闘制御プログラムの完全な発動が必要であるため、アーマーギアの完全な起動には至っていないとの話がある。
2)オールレンジアイ → ディアリオと同じ
・グラウザー本人の視覚機構に内蔵されているが、アーマーギアの電子アイを加える事で、視界や視力などを強化できる。
3)マルチパーパスレーダーブロック → フィールと同じ
・フィールに内蔵されているものとほぼ同等。アーマーギアのショルダープロテクターとハンドガントレットに内蔵されている。ただし出力は大幅に増強されておりジェネレーター容量は7.8倍にまでアップされている。チャージ時間も大幅短縮に成功している。レーダーなどのセンサー用途よりも攻撃・防御用途での使用が重視されている。
3-1)ショックハーレーション
・フィールが有していた固有機能ショックオシレーションの機能強化版。より効果範囲と出力が増強されており、こなせる機能手段が増えている。対機械戦闘での攻撃力強化を想定した装備機能。
3-2)エレクトロウォール
・アーマーギアのショルダープロテクターの外側面の片側に内蔵されている機能で、障害物や飛来物に対して、電磁破砕マイクロ波を瞬間的に高圧発信することで、鉄壁の防御を行うもの。本機能の使用時には身体の片側を、目標方向に向け片腕を縦に構えて頭部を保護するような姿勢をとる。
4)パルサーブレード/マイクロアンカー(右腕部) → アトラスと同じ
・右ハンドガントレットに内蔵されておりアトラスの物とほぼ同等品
5)電磁レールボウガン(左腕前腕部下側) → エリオットと同じ
・左ハンドガントレットに装備されておりエリオットの物と同等。携行弾数は若干少なめ
6)エアジェットスタビライザー
・エアダクト形状の一種のジェット推進装置、フィールのマグネウィングの小型改良版であり、小型ながら推力はほぼ同じである。しかし、グラウザー自身の自重が重いため滑空/加速移動などの用途が主になる。
7)レッグパイラー
・レガートブーツに装備された両踵部の撃ち込み式の杭でΓ128チタン製。戦闘時などにおいて、主武装の使用時に自分自身を固定するためのものであるが、キック時に併用して敵目標物の防御装甲を突破する使い方もある。
8)タランチュラⅡ
・両腕の指に備えられた単分子ワイヤーの射出装置、フィールに装備されているものの改良版だが、グラウザーの物はさらに横糸を自動的に付加することができ捕獲用の網にもなる。アーマーギアの装着時に使用を想定しているが、通常時にも使用可能である。
9)プラズマブラスターⅡ
・左前腕内に装備された強化タンデムミラー型プラズマ炉で、水素とヘリウム3による超高純度の超高温プラズマ(瞬間最大温度3万度)を生成し、それを左手部周囲の磁力ユニットでコーン状磁場を作り、プラズマ流を敵へと叩き付ける攻撃兵器。
1回分のプラズマ燃料しか持っていない事や、発射までに約7秒の待機時間が必要なため、発射タイミングを計るのが非常に難しい。また、発射後は左手が高熱にさらされるため左手の人工皮膚を貼り直す必要がある。このため、グラウザーの左手は簡単に脱着交換が可能だと言われている。
10)ライトニング・リフレクション
・体内の高スピンエネルギードライバーで精製した陽電子を、両肩のショルダーアーマー内
の集電セルに集め、そこで周囲の大気中の自由電子と反応させ、発生した膨大なエネルギーを電磁波に変換、これを敵に向けて収束放射する攻撃武器。しかし、攻撃時に発生する強烈な電磁ノイズによって周囲の電子機器に多大な障害を引き起こす場合があるため、使用には注意が必要となる。
11)MFバスター(MultiFunctionBustergun)
デザートイーグルとほぼ同じ大きさの特殊ハンドガンで、砲口内径は3センチ、筐体外形は6センチ。筒状の構造を持った多機能銃である。普段はグリップを折りたたまれて腰の後ろに収納されているが、グリップを展開して使用する。
発射する弾体や飛翔物・放射エネルギーを多彩に切り替えることができるのが特徴でオプショナルパックを銃身後部に連結することで更に機能性を広げることが可能。使用時のエネルギー供給はグラウザーからの無線・有線の両方を用いて行われる。標準的な機能は以下のとおり――
11-1)超高温ブラスター
高圧マイクロ波と消耗性ナノマシンを併用することで瞬時に最大温度1500度まで加熱可能なマイクロ波エネルギーを直線放射するもの。
11-2)フレームスローワー
火炎放射器。放射時間は120秒。到達距離は180m。銃身後部に専用の超高圧圧縮アセチレンボンベを連結して使用する。
11-3)カーボンフレシェット
待機中の二酸化炭素や窒素を回収して分子固定、直径2ミリ、長さ13センチの超硬化カーボンフレシェットを高速生成、電磁レールガン機構にて射出する。一発発射してから次弾を発射するまでのインターバルは12秒
11-4)ニードルガン
銃身から長さ2ミリ、直径0.002ミリの微細な金属ニードルを数万本を高圧ガスで一斉発射するもの。目標物を瞬時にしてボロボロにしてしまう。銃身後部に専用カートリッジを装着して用いる
11-5)レーザープラズマガン
目標物表面に到達した時に目標物表面をプラズマ化させる電磁レーザーを発射するレーザー兵器、致死性から非致死性まで用途が広いのが特徴。アトラスが保有するレッドパイソンと機能は同じである。
11-6)マグネガン
コヒーレントな指向性磁場を放射する兵器。電子機器の破壊などにもちいる。応用として離れた場所の帯磁可能金属(鉄など)を引き寄せたり、斥力で磁性物体を飛ばしたりする事が可能。この機能を応用した幾つかのアタッチメントが準備されている。
専用車両:
現在開発中、詳細不明
能力傾向:
グラウザーは一般所轄署での配属を想定されており、所轄の係員との連携で一般捜査活動から非常戦闘までを幅広く実行可能な量産汎用機となる事を想定して造られた最終試験機である。
しかし、全ての機能をグラウザー本人に内蔵させるのではなく、フィールの2次アーマーの概念を推し進める形で、追加二次装甲スーツとして装着する事で、一般捜査には不必要な非常戦闘用の機能を適時必要に応じて使用可能とするシステムが開発されることとなった。
グラウザー本人の構造はフィールの開発で明確となった対人コミニュケーション機能の必要性をより重視したものであり、エリオットで得られた単純化内骨格を基本として、フィールで開発された柔構造外骨格を盛り込むことで、優れた運動能力や耐久性と、より自然で不自然さのないルックスを両立させることに成功している。
その中枢部の機能はそれまでの特攻装警開発の集大成と言えるものであり、開発技術の蓄積によるコストダウンに成功しつつ、フィールをも超える脳力を得るに至ったのである。
一方で非常戦闘能力はフィールの2次アーマーの概念をさらに発展させ、アーマーそのものを適時に微細分解可能なマイクロマシンの結合体とする事で、より随意にスムーズに脱着可能としている。その戦闘能力のレベルはセンチュリーやエリオットと十分に比肩する物であると同時に、センチュリーの白兵戦闘能力を重視しており、一対多数の近接白兵戦闘においても、優れた性能を発揮できると言われている。
このように一般捜査能力と非常戦闘能力とを適時切り替え可能とする事でグラウザーの機能性はより発展することとなったのだが、その一方で、その中枢部の制御ロジックはこれまでの特攻装警の中でも間違いなく最も難易度の高いものであり、開発責任者が人工頭脳学の若き天才と言われる大久保氏をもってしても困難極まる状況であった。
その結果、メンタル面での成長に遅延をきたしており、現場配属のスケジュールに遅れを生じることとなった。これに対して配属予定先の所轄署では成長途中のグラウザーを研修生名目で現場での職務活動を通じて本人に刺激を与えて成長を促すプランが進められている。
配属先の所轄署の捜査課では捜査課長の監視のもと、係員である刑事の指導をうけながら着実に成長を続けていると言われている。
開発経緯:
グラウザーの開発については、まず第2科警研内で行なわれたとあるミーティングがきっかけになっている。それは今後の特攻装警の展開を模索するための研究会であった。その席上、第2科警研の幹部研究員である大久保克巳氏は、警察内で幅広く活動できる統合型の特攻装警のプランを発表した。
のちにこれが、警視庁/警察庁の上層部にも伝えられ、警視庁内の特攻装警プロジェクトを管理する委員会で多くの賛同を得られた。そして、実際の計画として承認を受けた。その一方で単なる一般捜査用途ではなく、所轄の一般の署においても使用できる汎用型の特攻装警として開発するように要望が出された。
第2科警研ではこの承認を受け、第7号機にグラウザーという名称を与え大久保氏を開発責任者として開発を開始したのである。大久保氏はグラウザーには、これまで特攻装警の基本概念を全て取り入れ完全な統合型の構造をとる事とした。
エリオットの単純化内骨格をベースにフィールの柔構造外骨格を導入、運動能力の向上と防御能力の向上を両立させた。また、中枢部のマインドOS+クレア頭脳には、最高級のグレードの物が使用される事となった。外見上はリアルヒューマノイドとして作成され、より人間社会の中に踏み込めるようにとの配慮がなされた。グラウザーは、アトラスからフィールまでのあらゆる特攻装警の要素を取り入れながらながら完成へと進んで行く。
当初は、グラウザーは一般的な犯罪捜査の補助を目的としていた。そのため、制作方針としてはフィールやディアリオの物に近く、戦闘能力は必要最低限に留められていたと言われる。
しかし、この方針を一変させる事件が起きてしまう。
東京都内のとある場所で、武装暴走族やマフィア化ヤクザの影響下にある特殊犯罪者の一団が、企業テロを引き起こしたのである。この件に関して、事件発生時、それまで特攻装警たちは事件現場に間に合わず、さらには駆けつけた武装警官部隊・盤古の一小隊にも被害者が出るという始末であった。
この事件がきっかけとなり、所轄にもエリオットやアトラスのような非常戦闘に強い特攻装警の配備が必要なのではないか? と言った議論や意見が交わされるようになり、警視庁・警察庁の上層部もこれを無視できない状況となった。
そのため、作成が進んでいたグラウザーに、非常戦闘機能を追加するプランが盛り込まれ、それを実現するために2次アーマー機構『オプショナルアーマーギア』の開発が行われたのである。グラウザーの戦闘武装のほとんどがアーマーギアの装着が必要なのはこのためである。
グラウザーはもともと所轄の一般の署での活用を想定して開発された特攻装警であった。彼の配属先もその事を考慮して選定が成される事となった。配属に関して様々なプランが警察庁・警視庁において議論されたが、配属先として決定されたのは品川管区方面の新設の署「涙路署」であった。
この署は、品川駅の海側、品川インターシティ区画の隣接地域に建設された署で、品川近辺だけでなく、23区の湾岸沿い地域一帯や青海/有明/晴海などの新都心地域などを広く管轄する広域型の新型の署である。従来の署と異なり、犯罪捜査に能動的に関わらなければならないだけに、特攻装警を配属し効果的に運用するためには最適と判断されたためである。
そして、グラウザーは機体そのものは一応の完成を見たが、その後の基礎教育やトレーニングにおいては大きな問題に突き当たっていた。
グラウザーは、その開発途中で、2次アーマー武装を追加する必要が発生した事から、戦闘制御プログラムを後付で追加装備する形となった。そのため、戦闘制御プログラムを戦闘プログラムをコントロールするためのロジックやシステム等の完成に支障をきたしてしまったのである。
戦闘に必要な闘争本能と、一般刑事活動に必要な情緒能力や倫理感覚のバランシングの調整が非常に難しくなり、基礎教育や人格面でのトレーニングに関するノウハウが、それまでの特攻装警の物では対応が困難になってしまったのだ。そのため、新たな教育ノウハウの確立が急務となったのである。
この教育の遅れから、基礎知識や一般常識/常識的概念などの蓄積は圧倒的に不足した。しかし彼のための教育ノウハウの確立をただ漫然と待っていたのでは現場配属までにどれだけの時間がかかるかも分からなかった。
この事態に、配属予定先である涙路署では、彼の基礎教育を所轄の現場で直接行う事を上層部に提案した。そして、これを受けた第2科警研ではこのプランを好意的に支持するとともに、グラウザーの基礎教育プランを涙路署捜査課の職員と綿密な打ち合わせの上で、新たに作成して、グラウザーを配属現場へと送り出す事となった。
そして、グラウザーは真っ白な心のまま涙路署に長期研修生という形で配属される事となったのである。
2-8:その他の機体
2-8:その他の機体
グラウザー以後の特攻装警の開発状況であるが、正式にスタートしているものは現状では存在しない。
目下、第2科警研では、第7号機であるグラウザーの開発研究に専念しているためである。
しかし非公式にではあるが、一般量産タイプの特攻装警の開発に向けて、自主的な基礎研究はそのまま継続している状態である。
なお、消防庁からの依頼で、特攻装警の開発技術を応用してレスキュー現場への導入を目的とした特攻装警応用機の開発のプランが検討されていると言われる。これに関しては警察庁と消防庁、そして第2科警研の3者の間で折衝が続けられていると言われている。