【2-6:第6号機フィール】
本編⇒【http://ncode.syosetu.com/n4530bf/】
機体名 :フィール
形式№ :APO-XJX-F001
機体構造:“柔構造外骨格”
基本素材:“5元アルミ合金”
“ナノセル人造スキン”
“超高張力ナノマテリアル合成レザー”
主導力源:“高スピンエネルギードライバー”
駆動源 :“電動性人工筋肉(電圧動力線+制御信号線分離駆動型)”
中枢部 :“クレア頭脳”
“マインドOS”
“マルチパーパス超高速データベースエンジン〔エンジェルレイヤー〕”
“大規模高速ネットワーク対応情報管制システム”
“人工脊椎システム”
“戦闘プログラム独立起動システム(別名:BOシステム)”
〔フィールの中枢部は、通常の状態では人間的なコミニュケーション能力や感情表現能力を重視した動きをする。
しかし、追加武装であるオプショナルギアをセットすると、その追加武装の制御プログラムや戦闘プログラムシステムが彼女の人格に好戦的な変化を与え、洗練された冷静な性格へと変貌する。そのため、彼女はエリオットほどではないが2重人格的な傾向を持っている〕
身長高 :151cm
重量 :56kg(非武装時)
所属 :警視庁捜査1課(機動捜査隊連携)
基本任務:一般犯罪捜査活動、犯人制圧、ネゴシエーション任務、早期警戒任務
責任者 :身柄引受・指導監督:警視庁捜査部捜査1課課長・大石 拳悟
開発責任者:第2科警研・布平しのぶ
所有銃 :スプリングフィールドXDMコンパクト(45ACP)
(主に対人用だが、犯罪組織構成員への有効な威嚇効果を誇示するために、あえて45ACPの強装弾を装填している)
特殊機能:
1)2次装着装甲「オプショナルギア」
・フィールは普段は一般の刑事たちに混じり、操作活動に従事している。しかし、戦闘や偵察/捜索など彼女独自の特殊機能を使う際には、それらの機能を独立させた2次装甲を適時装着する仕組みとなっている。
オプショナルギアは頭部・肩部・前腕部・胸部・背部・腰側部・腰背部・脚部の計12ヶ所のパーツからなり、単なる防御能力のみならずパワーや反応速度などの面でも、フィール本体のリミッターが自動的に解除される事により増強されるシステムとなっている。
さらに電磁気制御式のMHD推進ユニットが肩・背部・腰背部・脚部のギアに内蔵されている他、頭部に装着された特殊電磁フィンと、腰背部に備えられた大型電磁効果スタビライザーによるイオノクラフト推進を加えることで、極めて優れた飛行能力をフィールに与えることが可能である。
2)オールレンジアイ → ディアリオと同じ
3)マルチパーパスレーダーブロック
・彼女の手足や頭部メットなどの内部に設けられた多目的レーダーで、通常、特攻装警たちに与えられている複合通信アンテナよりも、早期警戒用の監視レーダーとしての傾向が強い。また、鋭敏な方向探知能力を持つ。
3-EX) ショックオシレーション
・レーダー機能の電磁波発信を応用して、攻撃用のショックウェーブを発生させるもの。周波数や出力を変換する事により、全身を帯電させたり、超音波を発生させたりできる。
3-EX2)ソニックバレット
・ショックオシレーションを応用して超音波を発生させ、共振作用で物体を破壊する。
4)ダイヤモンドブレード
・ダイヤモンドセラミックスを主素材にした超硬質のハイテクスローイングナイフ。柄の内部に固体ブースターがあり、飛距離と攻撃力を強化できる。対、ディンキーアンカーソン戦にて、攻撃力の不足が懸念されたが、金属水素による電子励起爆薬を先端に装填した強化モデルを試験配備している。これについてはあまりに強力すぎるため、使用判断に苦慮しているようである。
5)タランチュラ
・高精度の単分子ワイヤーでカーボンフラーレンを素材とする。彼女の五指の付け根で高速精製され、エアジェット流の力で射出される。高周波のショック波を流せるほか、3本のワイヤーをより合わせた構造のためある程度は自由に湾曲させられる。
対、ディンキー・アンカーソン戦にて、熱に弱い弱点が露見したが、その後、構成素材にチタンやレアメタルを添加することで耐熱性を向上させることに成功した。
6)マグネウィング
・フィールの頭部メットの後頭部/側頭部の3箇所に設けられている大型の帯電フィンで、2枚ひと組で互いの間に電磁放電を起こす事により、イオノクラフトやMHD効果を起して、強力なエアジェット気流を発生させる。
主に飛行用の浮上力/推進力として使用する。
6-EX) ライトニングアンカー
・3組のマグネウィングのうち後頭部のひと組は2本のブレードとして外す事ができる。高周波ブレードとして手持ち武器として仕える他、エネルギー放射させながら敵に投げ付けることも可能である。
6-EX2)シン・サルヴェイション
・全身を帯電させ左右2組のマグネウィングで高圧の電磁力場を作り上げ、両手に持ったライトニングアンカーを、電磁的な力で打ち出す遠距離攻撃の技。フィールの必殺技。
7)アークバーニヤ → センチュリーの物と同じ
8)大型電磁効果スタビライザー
・腰背部に備えられている浮上力補助用のMHD電磁効果装置のスタビライザーフィン、伸縮式で縮めている時はコンパクトだが、可動式、伸縮式であり、最大展開で翼長片側1m程度になる。
9)超高速起動
・全身のMHD推進装置とアークバーニヤをフル稼働させ、瞬時にソニックブーム発生ぎりぎりの速度まで加速する。タランチュラのワイヤーと併用することで、敵を瞬時に捕縛拘束する事が可能。ただし、連続で30秒程度が限界であり、全身各部が過剰に発熱するためオーバーヒートを引き起こしかねないデメリットがある。
専用車輌:高速電動パトカー・ヴァルゴ
フィールの移動手段確保のために作製された小型覆面パトカーで市販のリッターカーを偽装している。しかし、インホイールや超電導バッテリーの採用などはラプターやアバローナと同じであり高速性能も230キロをマークする。機能面では一般的な警察車両とほぼ同レベルだが、特殊機能として運転席シートが自動的に車両後部へと移動し、フィールのオプショナルギアは装着のプロセスを補助する機能が付加されていることである。
(余談:後部シートが自動的に収納され運転席シートが後部へと移動。車両後部が外部から見えないように自動的に目隠しされ、その内部でフィールは2次装甲装着の“着替え”を行うと言われている)
能力傾向:
フィールの開発技術はある程度をそれまでの4体の特攻装警たちの開発技術を基礎として成り立っているが、その多くは全く新しい技術概念を多数導入することで成立したものである。事実、布平女史にフィール開発の指揮を与えるまでは、それまでの男性陣のセンスでは実用に耐えうると思われる様な女性型特攻装警のプランは出てこなかったのである。
布平女史は基礎技術面での協力を既存スタッフに仰ぎながらも、主要技術は女史自身が独力でスカウトしてきた人材から得ている。これには、やはり女性独自の視点が有利に働いており、防御能力を思い切ってカットすることで生まれた柔構造外骨格などのアイディアがその代表とも言えるものである。
フィール本体の能力傾向は、対人コミュニケーション能力にひたすら注力されていると言っていい。特に外見面でのごく自然な感情表現などは特筆すべき物であり、アンドロイド開発において最大の壁とされる“不気味の谷現象”の克服の成功はその最たる物である。
一方で、戦闘武装を完全脱着式とすることで、機能面において思い切った割り切りが可能となっている。フィール本体を非常に軽量なものとすることで、飛行機能や高速性能にウェイトを置き、頑強さやパワー面での不利をカバーすることに成功している。銃火器よりもスローイングナイフやワイヤーなどを多用する戦闘手法はその一例である。
このためフィールはそれまでの特攻装警では困難であった、一般市民社会へと自ら踏み込んでの犯罪捜査と言う任務に対応することに成功した機体であると同時に、フィール以後の特攻装警開発に求められる要素を明確化させたと言う点においても、特攻装警開発のターニングポイントとなった機体と言えるのである。
開発経緯:
エリオットの開発が山場をすぎ落ちついたころ、すでにセンチュリーの指導監督役を請け負っていた警視庁捜査部から一つの上申書と提案書が警視庁上層部と第2科警研あてに提出された。
それは「一般捜査活動における女性刑事としての特攻装警」の必要性を説くものであった。現実、捜査現場では女性独特の視点で一般捜査活動に関わる事のできる女性刑事の存在が圧倒的に不足していた。上層部ではこれに前向きに評価したが、開発現場での判断が優先するとして第2科警研からの報告待ちとした。
一方、第2科警研では女性アドバイザーとして参加していた布平しのぶ女史がこの件に大変な関心を示し「アンドロイド女性刑事」の開発に「技術的にも開発は充分可能」と警視庁上層部に返答した。
これにより開発のGOサインが正式に出され、布平女史は旧知の科学者/技術者などに協力をつのり女性だけの開発チームを結成する。そしてアンドロイド女性刑事……事実上の特攻装警第6号機の開発を始めるのである。
フィールの開発にあたっては、その重量を軽減し一般的な成人女性とほぼ変わらぬ体重/体型を確保する事を最大の目標とした。
その一方で、フィールには刑事として一般操作活動の他、敵索/非常戦闘の能力がもりこまれる事となった。この相反する開発目標を達成するため、フィールは戦闘武装/特殊機能を分離し2次装甲として脱着する方法が取られた。また重量軽減のため、特殊精製プラスティック製の複合素材を使用し外骨格構造を取った。
これにより通常状態のフィールは非常に人間的なルックスを持つに至ったのである。
蛇足ながら、フィールは開発予算や上層部の許可などの問題で、完全なリアルヒューマノイドへと作り上げる事はできなかった。そのため、重量は56キロと少々重めになった。
フィールは一応の完成を見たのち、当初の予定通りにすみやかに警視庁捜査部のもとへと配属された。
配属後の勤務成績は非常に優秀であるばかりでなく、その極めて愛らしいそのルックスから内外の評判は非常によく、来賓警護や接待などに日本警察代表として借り出される事がある。また、犯罪捜査における捜索/偵察行動など、彼女の能力が必要とされる領域は非常に大きい。身柄引受人である大石氏もその事を十分に理解しており、彼女の才能がより伸ばされるようにと彼女に様々な配慮をしている。
一方で、彼女に次ぐ第2の女性型の特攻装警を望む声が早くも上がり始めているが、これについては上層部/開発元ともに、現行のフィールの方が重要であると考えているため保留中と言われている。