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ここは人類最前線5 ~人間さん襲来~  作者: 小林晴幸
第一回ハテノ村仮装ドッキリの宴
44/46

41.第一回ハテノ村仮装ドッキリ(対象複数)そのきゅう

ドッキリ完了まであとわずか☆



 ステージの上、ミリエラは微かな違和感を得た。

 だけどそれが何に由来する違和感か、わからなかった。

 舞台の上を見渡して、異常は何もないように思える。


 いけない、と思った。

 自分がこんなにそわそわしているのは、きっと浮ついているから。

 こんな調子では、殿下に見損なわれてしまう。

 ステージの上、自分達とは反対端にいる殿下は、あんなにも堂々と…

「………?」

 再度、胸を違和感が過ぎったように感じる。

 だけどそれを気のせいだと。

 気が高ぶっているせいだと判じて…

 ミリエラは来るその時、帰還の時を待ち望み、高鳴る心臓をそっと押さえた。



 まぁちゃんに話を振られ、流れ的に獅子マスクが宴の謝辞と帰還にあたって挨拶をすることに。

 頑張れと内心で叫びつつ、イカ焼き片手に見守ります。

 壇上で、獅子マスクが立ち上がりました。

 そのまま、ステージ中央に出てきて…


「まずは簡単に、これだけ言わせてくれ。

みんな、今日は俺の為に済まない。そしてありがとう…!」


 おお、流石の舞台度胸。

 衆目にさらされるお仕事が多いだけはあります。

 むしろ、衆目にさらされるのが本来のお仕事ですからね、彼は。

 にしても。

「相変わらずの、良いお声で………どうしてあんな声が出るんだろう」

 本当に、あんなうっとりするような声をどうやって出しているのか。

 素朴な疑問として、私は首を傾げます。

 両隣の異様な風体を曝す男達も、揃って感心していました。

「本当に、良い声だねぇ…こういうの、イケメンボイスって言うの?」

「逝け面?」

「あ、リアンカ嬢は知らない単語だから気にしないでいいよ~!

確かに冥府に逝かせたくなる(ツラ)のことだけど!」

 冥府に逝かせたくなる面って………オークみたいな顔とかかな。

 どうも勘違いな気もする…。

 詳しく聞こうと思ったら、ヨシュアンさんが話題を修正してきました。

「しかしこうして舞台上から『勇者さんの声』を聞くと、やっぱり迫力があるよねぇ。

発声も良いし、大した度胸だよ」

「ちょっと冷や冷やしますけどね」

 同意、と。

 隣で虎マスクが頷いています。

 彼はちょっとした事情で今は喋れませんからね。

 ちょっと、もどかしそうです。

「ていうか、芸達者だよねぇ。あいつ――」

「ええ、本当に」

「………(こくこく)」

 私達三人は、感心して成り行きを見守りました。


「こうして盛大な場を設けてくれて、皆で名残を惜しんでくれて。こんなに良くしてもらって、俺は返せるものを持たない身であることが惜しくてならない。だが、そんなことを思うことすら失礼なんだろう。皆の有難い気持ち、痛いほど伝わっている……」


 感情も声量も豊かな、獅子マスクの声。

 ――『勇者様の声』。

 あの達者な姿も暫し見納めかと思うと、柄にもなくほんのりと寂しさを感じます。

 元気でね、元気でねと唱和する皆の声が大きな輪となって、一つの温かい気持ちになって。

 そうして、会場全体を包んで…

 それを導く獅子マスクは、とてもカリスマがかって見えます。

 獅子の仮面ではありますが、こうやってみるとちょっと格好いい。

 なんだかうっかり、尊敬しそうです。

 雰囲気に呑まれたのか、沢山の人が涙ながらに「元気でね」「忘れないでね」と叫んでいます。

 その、手腕に。

 今のこの場を導いた獅子マスクの手腕に。

 その凄まじさに鳥肌が立ちそうなくらいです。

 そのくらいに、凄い。

 何この会場の一体感。

 獅子マスクの凄まじさを目の当たりにして、私も会場の空気に引き込まれそうです。

 だめだめ、正気を保たなきゃ!

 ああ、本当に状態異常に耐性があって良かった!

 この異様な空気は意図したものではないのでしょう。

 少なくとも、状態異常という面では。

 でもこれ、もう立派な状態異常だと思うんですよね…。

 思わぬ隠し芸を見せられて、私は深く嘆息です。

 これはもう、感心するしかない。


 取り敢えず。

 隣で虎マスクも引き込まれそうになっていました。

 おおい、しっかり!?

 マズイと思ったので、ビンタを見舞って正気に戻しておきました。

 目を覚ませ!




 意外性あふれる高性能な洗脳ショーが終わりました。

 恐ろしい時間だった…。

 ステージに威風堂々と立つ獅子マスク。

 外見滑稽なのに、その口からすらすら出てくる誠実な良いお声。

 ……なんか変な音波でも含んでたのかな?


 現在、会場の皆様は完全に洗脳されております。


 魔王兄妹は流石の高スペックで平気そうだけど、戸惑いの顔を浮かべるまぁちゃん。

 せっちゃんはにこにこ「仲良しさんですの~」って、本当に可愛いなぁ…。

 私と両隣の二人は、まあ無事ですが。

 一番ヤバいのは、ステージ上から逃げられない使者のお二人でした。

 いや、自ら進んで陶酔しているような気もするけれど。

 会場では、今。


 勇者様を讃える声とともに、自発的ウェーブが発生しています。

 

 いつの間に作ったの、その横断幕やのぼり。

 誰が作ったの、その獅子マスクをモチーフにしたアイテム。

 会場はさよならの雰囲気ではありません。

 むしろ、今から盛大なショーが開幕しそうです。

 いや、まあ、ある意味ではショーですが。

 戸惑い顔のまぁちゃんが、私に真剣な目を送ってきました。

 彼の眼が、言っています。

『予定早めて、早々に終わらせた方が良くねーか? この雰囲気、なんかヤバい』

『奇遇だね。私も同じこと考えてた』

 私も自分の気持ちを視線に乗せて、頷きを交わします。

 ええ、他にもいくらか進行予定はありましたが…


 もう、全部カットで。


 とっとと、彼らにはご退場願いましょう。

 あの獅子マスクのステージ上でのカリスマと、洗脳力は本当に危険です。

 村人に何か変な後遺症が出たら、治療するのは私なんですよ…!?

 全村人の精神治療とか、そんな面倒くさい…。

 変な影響がこれ以上出る前に、何としてでも終わらせて!

 

 私の切なる願いを視線から受け取ったのか、まぁちゃんがきりっと顔を引き締めます。

 きりりっとしたまぁちゃんは、まるで戦神のように凛々しく格好いい。

 状態異常:魅了の能力は、いつも通り抑えているはず。

 だけどまぁちゃんの美々しい立ち居振る舞いときりっとした様子はインパクトが強くて。

 会場の女性達が、ハッと我に返るのが此処からも見て取れました。

 我を失うほどではなくても。

 心を奪われ目を奪われ。

 よっし! 女性陣が正気に戻りましたよ!

「せっちゃん、せっちゃん! 応答せよ!」

「みゅ?」

 私は小声で、せっちゃんに呼びかけます。

 せっちゃんの性能の良いお耳は、混沌とした最中の小さく微かな声でも誤りなく拾い上げて。

「此方せっちゃん、ですの! どうぞ?」

 ノリよく付き合ってくれました。

 にぱっと関係者席端っこの私に、可憐な笑みを向けてくれます。

 可愛い従妹に、私は言いました。


「笑って!」

「えぅ?」

「いいから、笑って! 会場の皆さんに向かって、お花みたいに笑って! 最高威力で!」

「えぅー…? よくわかりませんけど、笑えば良いんですの?」

「うん、全開で!」

「わかりましたのー」


 私のお願いを、受けて。

 せっちゃんが笑った。

 可憐に、麗しく。

 私の希望通りの笑顔で。

 目の錯覚だろうけれど、後光が見えた気がした。

 

 そしてせっちゃんの笑顔で、正気に戻る野郎ども。

 

 ………魔王兄妹、凄まじいなぁ。

 その威力に、会場は桃色だ。

 まぁちゃんが魔境一の実力者で、本当に良かったよ。

 この威力を目にすると、普通なら不安になりそうだけど。

 あの猛者を相手に良からぬことを企む馬鹿は、問答無用で地獄送りですから。

 愛らしいせっちゃんの平穏は、きっと今後も守られる。

 そのことに安堵しつつ、ちらりとステージの右へ視線を走らせるけれど。

「………いっそ凄い」

 顔を見ただけで、わかります。

 ミリエラさんとネレイアさんの二人は、変わらず勇者様崇拝者のままでした。

 

 

 今後の先行きに不安を覚えたまぁちゃんが、予定を繰り上げに繰り上げさせて。

 呆気ないほどあっという間に、お約束の時間がやって来ました。


「それでは、彼らの前途に祝福を!」


 まぁちゃんの宣言の元、ステージの中央に場が作られる。

 彼らが、勇者様の故国へと帰る為の場が。


 いよいよ、さよならです。


 ステージの中央に出てくる、獅子マスクと使者の二人。

「エルティナは?」

「あ、その女なら残るってよ」

 使者の疑問に、軽い調子で返すまぁちゃん。

 納得のいかない顔をしている二人ですが、割り切ったのでしょう。

 ネレイアさんが「殿下がその気になっている内に…」と呟いています。

 聞こえてますよー(笑)

 実際にはその気になっていない某マスクはさておき。

 寄り集まった三人は、固く離れない様子。

 ミリエラさんとネレイアさんが、ここぞとばかりに獅子マスクの両腕をがっちり掴んでいます。

 わぁ、シュールな光景! 連行される人みたい!

「その、もう少し離れてくれないか…?」

「まあ、何を仰るの? これは必要なことです」

「そうですよ、殿下。我々が(はぐ)れず帰る為には、互いに接触していないと!」

「いや、接触し過ぎじゃないだろうか………」

 獅子マスクが、さり気無く距離をとりたそうな素振りを見せます。

 女性二人が頬を染めていても、全く可愛くなかった。

 祭の間に我が家から運び込まれた彼女達の荷物が、ステージ上に集められ。

「それじゃ双転石ってヤツを拝ませてもらおうか」

 にんまり顔でまぁちゃんが言うと、ご満悦状態のミリエラさんが笑顔で大きく頷きました。


 私達は、てっきり荷物の中から取り出すと思ったんですけどね。

 違いました。

 

 なんと、ミリエラさんは自分の懐…というより胸元に手を突っ込んだ!


「………なんて、ベタな」

 まぁちゃんが呆れつつも、紳士的に顔を背けます。

 それで人前だと思いだしたのでしょう。

「きゃっ 私ったら…」

 ミリエラさんが顔を真っ赤にして、ネレイアの背中に隠れます。

 そこで、なにやらごそごそ。

 うんうん、勇者様以外はどうでもいいから、人目に気付かなかったんですね?

 そうして、彼女は小さなケースを二つ取り出しました。


 豊満な胸の、谷間から。


 あんなケースが収納できるなんて…!

 外見のイメージは清楚なのに、どこの女泥棒ですか!

 そこが一番安全と思ったって、発想がおかしいですよ!?

 私の隣で、虎マスクが呻いています。

 だから、声出すなって。

 私は虎マスクの頭を掴んで、ぐいぐい下げました。

 もう、貴方は椅子の下にでもいた方が良いと思うんですよね。

 虎マスクは最初は抵抗していましたが、途中で諦めました。

 前列の椅子と座っていた椅子の間に、身を隠すように屈んでいます。

 それで良いんですよ!

 私が満足にうんうん頷いている中、ステージでまぁちゃんがケースの一つを渡されていました。

「うわぁ…」

「…なんですか、その嫌そうな声」

「いや、なんで俺に渡すんだよ」

「その中には、復路用の双転石が入っています。

此方に置いておく分なんですから、魔境(こちら)の人に渡さないと意味がないじゃありませんか」

「ああ、成程。双転石でお国に帰って、用事が終わったらまた双転石で取って返そうって訳ね」

 呆れながらも、まぁちゃんは素直に受け取ります。

 勇者様の移動アイテムを託される魔王って…。

 しかしあの石も、想定通りの扱いは受けないでしょうね…。

 多分、使者さん達が帰った途端に砕かれるか送り返される運命ですよ。

 

 そして、舞台中央。

 ミリエラさん達の注意がまぁちゃんに向いている間に。


 ささっと、獅子マスクのマントの下に忍び込む影がチラッと見えた。


 どうやら、仕込の全部が終わったようです。

 私達の仕込んだ彼是(あれこれ)に、まだミリエラさん達は気付いていません。

 このまま気付かれる前に、是非とも帰っていただきましょう。

 

「それでは衝撃を与えるために、何方(どなた)か双転石を投げつけていただけますか」

 そう言われて、一瞬。

 おーしやったろうか、全力で☆

 …とか言いかけましたが。

 まぁちゃんに頼むとは洒落にならない剛速球お見舞いされても文句は言えませんよ!

 …とか思いましたが。

 まぁちゃんはひょいっと肩をすくめると、私達の方へ顔を向けてきたのです。

 そして、呼びかけました。

「おーい、虎」

 私の隣、ひっそり身を隠す某虎マスクに。

 呼びかけられた虎マスクはぎょっとした顔で。

 きょろきょろして『虎』に該当されるのが自分だけだとわかると、首を竦めて嫌そうな様子。

 ぶんぶん首を振って全面拒否。

 しかしながらまぁちゃんは、虎の都合など斟酌しない顔で言ったのです。

「なんだかんだ、一時でも縁のあった相手だろ? お前が見送ってやれよ」

 私は、そのまぁちゃんの言葉に。


 全面的に応援しようと思いました。


 なんて悪どい! でも素敵!

 それは流石に酷いけど、私も一も二もなく賛成したくなるくらいに楽しそうです。

 私は、笑顔で。

 むんずっと虎マスクのマントを掴み上げると、問答無用でステージの方へ押しやりました。

 しょんぼり。

 肩を落として、すごすごと虎マスクが壇上へ上がります。

 何か緊張しているのか、恐れているのか。

 見事なまでにおどおど挙動不審です。

 まあ、身に疾しいところがあるので仕方ないですよね。

 堂々しろとはとても言えません(笑)。


「………?」


 ミリエラさんが、何やら訝しげな顔。

 虎の中身を知らないはずですしね。

 何か気付かれたかと、一瞬思ったけれど。

「あにゃぁ!?」

 ミリエラさんの五㎝隣で転倒大回転!

 …私は見ました。

 一瞬、獅子マスクのマントからにゅっと白く細い手が伸びるのを。

 白く細い手が、せっちゃんの腕を掴んでぐいっと引っ張るのを。

 いきなり引っ張られて、バランスを崩したんでしょう。

 せっちゃんがアクロバティックに転倒しました。

 まるで作為的に転んだかの様な、芸術的な大回転。

 しかもそのまますちゃっと綺麗に着地。

「び、びっくりしましたのー…」

 おっとりしているし、大人しく見えるからそうは思えないけれど。

 せっちゃんって、意外に運動神経凄いんだよね。魔王の血筋だし。

 絶対に、見ている人の何割かはべちゃっていくって思ったでしょ?

 だからこそ、集まる注目は凄くって。

 ミリエラさん、ネレイアさん両名の視線が、釣られたようにせっちゃんに集まりました。

「……よし!」

 上手いですよ、ナイス咄嗟の判断!

 せっちゃんがうまくド派手な動きで気を逸らしている間に。

 ぼろが出る前にと思ったのか。

 やけくそ気味に虎マスクが振りかぶって、第一球!!


 ――投げた!


 投げつけられた双転石。

 衆目の見守る中、魔境では出回らない不思議アイテムの効果が発揮される。

 石は真っ直ぐに獅子マスクの眉間に直撃(ヒット)

 

 そして、

 そこから。


 空間が、ぐんにゃりと歪んで。

 見えるモノが、ぐんにゃりと歪んで。


 空間の、ひずみ。


 ぐるぐる、ぐるぐる渦を巻いて。

 

 まるで、吸い込まれるように。


 双転石に接していた、獅子マスク。

 獅子マスクの両腕を掴んでいた、二人の女性。

 それから、秘かにマントの下に潜んでいた、彼。


 全てが、すべて。

 全員が、全員。

 四人は一纏めに、歪みの中へと吸い込まれるように、


 消えた。




 それを、皆で見守って。

 痕跡残さず、跡形なく。

 彼らが消えたことを確認して。

「よし!」

 まぁちゃんが力強く、頷いて。


 その頷きを受けて。

 虎マスクが、仮面を外した。

 

 さらさらと、零れ落ちる。

 陽光のように煌き輝く、金色の髪。

 現れる、青い瞳。


 完璧な美貌が、姿を見せて。


 会場にいる全員が、激しく興奮の乗った大歓声を上げた。


 これはあれですね。

 私とせっちゃんは、同時に紐を掴みます。

 ステージの袖に、見るからに怪しく垂れ下がる、一本の太い紐を。


「「せー、の!」」


 掛け声とともに紐を引けば、ステージの上部ではらり。

 ばさっと、布の泳ぐ音が聞こえる。

 自らの重みで垂れ落ちた横断幕には、大きくくっきりとした一言。


   『ド ッ キ リ 大 成 功 !』

 

 誰よりも晴れやかな顔で、勇者様が笑った。

 あまりに晴々と笑うから、私も笑った。

 まぁちゃんもせっちゃんも、ヨシュアンさんも。

 会場の全員が、笑った。

 転送していった先の、今頃を予想して。

 何人かがうっすらと邪悪な笑みを浮かべた。

 愉快なことになっているだろう、この結果に誰もが満足そうで。

 より良き結果になったこと、心より喜ばしい。←特に勇者様。


 皆様、ご協力ありがとうございましたー!







 転送は、一瞬だった。

 目を開いていることに耐えられず、一度まばたき。

 それだけで、目の前の光景が変わっていた。


 なんだかやたら豪華で立派そうで荘厳な、どっかのお城の謁見の間に。


 どっかってなんだよ。

 決まってるだろ。

 そう、ここは………


「おお、息子よ……かえ、って……………」

 一行を目にした王様の言葉が、言い終えるよりも早く戸惑いに(つい)えて。

 不審な物を見る、その目。

 明らかに場違いな獅子マスク。

 顔を輝かせたミリエラやネレイアが何か言うよりも早く。

 獅子マスクは、その邪魔な仮面を脱ぎ捨てた。

「ふう……」

「「……………!!?」」

 出てきた顔は、精悍。

 しかし勇者様の顔とは、似ても似つかない。

 反射的ともいえる速度で、両脇の女性は飛び離れた。

「な、な、なぁ……っ」

「あ、あなたは!」


「どーも~☆」


 へらっとした軽薄な笑顔に、ひらひらと適当に振られる手。

 そこにいたのは。

 勇者様の代わりに、王国に現れたのは。


 自称軽業師、無駄に芸達者なサルファ、その人だった。



 --ドッキリ、大成功☆





前話から通して実は、

 獅子マスク=サルファ

 虎マスク=勇者様  でした☆

皆さんはお気づきでしたかー?

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