表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

第1章 – 思いがけない初日

ミナセ・ミアの紹介


ミナセ・ミア、星峰学園の“プリマドンナ”。ピンクの長い髪と澄んだ青い瞳で、誰もが一目で彼女の存在に気づく。美しさだけではなく、優しくて礼儀正しい性格もあり、学園の生徒たちから絶大な人気を誇る。


毎日のように告白されるが、彼女は決して軽く応えたりしない。冷たくはない、むしろ柔らかい笑みで断ることで、ますます人々を惹きつけてしまうのだ。


性格は真面目で努力家。勉強でも運動でも常にトップを目指し、何事にも全力で取り組む。友達との時間も大切にするが、彼女にとって最も大事なのは「家族」、特に祖母を幸せにすること。両親を早くに亡くし、祖母と二人で暮らす生活の中で、自立心と責任感を身につけてきた。


友達の宮野志保や雅里リノと共に、学園生活を送りながらも、ミアの心は常に目標に向かっている。恋愛や人気は後回し。だが、彼女自身もまだ気づかない、心の奥に潜む新しい感情――それは、やがて彼女の世界を大きく揺るがすことになる。

星峰学園の廊下を、ミナセ・ミアは軽やかに歩いていた。長いピンクの髪が後ろでふわりと揺れるたび、周りの視線が集まる。美しさだけではない、青い瞳の輝きと、誰にでも優しい雰囲気が、彼女を特別に見せていた。


毎日のように告白されるが、ミアはいつも柔らかな笑みで断る。それでも、なぜか人々の好意は増すばかりだった。


「今日も誰か告ったみたいだね…」後ろから男子生徒のささやきが聞こえる。


ミアは小さく微笑むだけだった。彼女にとって大切なのは人気ではなく、ただ一つ――祖母を幸せにすることだった。両親を幼い頃に亡くし、彼女は自立することに慣れていた。学校での成績や名声も大事だが、それは家族の幸せの次に来るものだった。


教室では、親友の宮野志保と雅里リノがそばにいた。志保は冷静で聡明、リノは社交的で人気者。二人ともミアのことを心配していた。「もっと青春を楽しめばいいのに」と。


「人生はただ楽しむだけじゃない、志保。私は祖母を幸せにしたいだけなの」ミアはある日、二人と帰宅途中にそう言った。


しかし、安定した日常は、新しい転校生が教室に現れたことで揺らぐ。名前は黒岩タケル。入室した瞬間、教室中の視線が彼に集まった。だが、タケル自身は周囲に無関心そうで、淡々としていた。


ミアは初めて視線を交わした瞬間から、違和感を覚えた。何か…特別なものを。


そして、偶然のように彼らは道で再会する。ミアは祖母と一緒に歩き、タケルは祖父と共にいた。しかしこの出会いは偶然ではなかった。二人の祖父母の計らいで、二人は婚約させられることになっていたのだ。


「婚約…?彼と…?」ミアは目の前のタケルを見て驚いた。彼はまったく動じず、冷静そのものだった。


タケルは淡々と、しかし優しく答えた。

「もし嫌なら、高校卒業まで延期できる。お互い、本当に好きな人を見つけたら婚約は無効になる。」


ミアは戸惑った。なぜ彼は反対しないのか?まるで当たり前のことのように。


「じゃあ、気にしてないの?」ミアは半信半疑で尋ねた。


「構わない。たぶん、この婚約で他の女の子は僕を諦めるだろう」


ミアは思わず笑った。その冷静で正直な考え方が、不思議と心に近く感じられた。


二人は祖父母の用事に付き添いながら一緒に帰る。だが学校では、話す機会はほとんどなかった。


部屋に着くと、ミアの頬は自然と赤くなっていた。今日の出来事を思い返すたび、胸が高鳴る。初めてタケルを見た瞬間から、何かが変わっていたのだ。


志保とリノに相談したところ、自分の気持ちの正体を知ることになる――それは恋だった。


「最後のチャンスかもしれない…でも、彼は僕に気持ちがない…」ミアは悲しみながらも決意した。


それ以来、ミアは普段通りに振る舞う努力をした。しかし心はもはや穏やかではなかった。秘密の婚約、そして新たな感情――それが彼女の高校生活を大きく変えようとしていた。


エピローグ風の締めくくり


その日、ミアは自分の部屋で窓の外を見つめていた。

初めて心が少しざわつく感覚――胸が高鳴る理由が、自分でもよく分からなかった。


彼の存在が、これからの日常にどんな影響を与えるのか。

そして、隠された婚約という秘密が、彼女の高校生活をどんな風に変えていくのか――。


ミアは小さく息をつき、心の奥でそっと決めた。

「どんなことがあっても、私は負けない――」


その瞬間、彼女の目は未来を見据えて輝いていた。

だが、その輝きの先には、予想もしない出会いと、甘く切ない運命が待ち受けていることを、まだミアは知らなかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ