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初仕事はキノコ狩り? ⑤
帰り道、俺は戦利品のキノコの欠片を布に包みながら、ふと思う。
「……これ、炒めたらうまそうだよな」
無毒化された毒胞子は、どこか香ばしい香りさえ漂わせていた。
「くっそ、俺……もしかして、毒にハマってない?」
ギルドに戻った俺は、キノコモドキとその上位種の討伐報告をし、銀貨を受け取った。
職員の女性がぽかんと口を開けたままだったのは、ちょっと面白かった。
「あなた……ほんとに初心者ですか?」
「……毒キノコに育てられたんで」
その日、俺は決めた。
毒の魔物は美味しいし、報酬もいい。毒耐性は役に立つ。
毒に関する本を読んでみたくなった。
錬金術を学べば自分で毒薬を作れるのだろうか?
俺の冒険は、少しだけ変な方向に走り出した。
でも、これが俺の道なんだ。
毒と共に生きる、変人への第一歩である。