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初仕事はキノコ狩り?④
現れたのは、キノコモドキよりひと回りもふた回りも上位種。
名前は知らないが、これは明らかに……Dランク以上の魔物だ。
「おいおい、ちょっと待て……」
冗談みたいに大量の毒胞子を撒き散らし、飛び跳ねるその姿。Eランクのやつが子どもなら、こいつは親って感じだ。
毒胞子の濃度が全然違う。視界が霞む、喉が焼ける。目もチカチカする。
「げほっ……や、やば……」
剣を構えて突っ込むが、跳ね返される。重い。スピードもある。
一撃もらえば終わりだ。けれど――
(……あれ? ちょっと……慣れてきた?)
ガスの中、俺の身体が少しずつ、毒に“馴染んでいく”感覚があった。
頭がハッキリしてきて、視界もクリアになっていく。
《スキル「毒耐性Lv.2」→「Lv.3」に上昇しました》
「……ふっ。なんだよ、苦くてピリ辛なだけじゃねぇか!」
剣を振り抜く。キノコの傘が裂け、内部の膿が飛び散る。
「二度目はねぇぞ、キノコ野郎ッ!」
一閃。今度こそ、キノコは跳ねることもなく、崩れ落ちた。