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召喚されたら毒でした④
「ガルル……!」
茂みから現れたのは、紫の斑点模様を持つ牙の生えた巨大ナメクジ。
毒液を飛ばしてくるEランク魔物。
「っはー! これこれ、こういうの待ってた!」
俺はナメクジの毒液を浴びながら、へらりと笑う。
他の冒険者なら即撤退レベルの猛毒。
だが、俺にとってはスパイシーなソースのようなものだ。
「よーし、そろそろ調理してやるか!」
毒を無効化しつつ、ぎこちない剣術で弱点を突く。
何度か空振りしつつも、ついに討伐成功!
「やった……初報酬、ゲットだ!」
ギルドに戻ると、受付嬢が目を丸くしていた。
「えっ、あの魔物を!? Fランクで……!? 本当に?」
どうやら、毒を持つ魔物を初回で倒す奴なんて滅多にいないらしい。
「うん、なんか……いける気がして」
俺は笑いながら、報酬袋を手にした。
その夜、毒腺を乾燥させて作ったスープは、格別だった。
「やっぱり……毒って、いいな……」
この日、俺は気づいてしまった。
毒を“狩る”のではない。
毒を“味わう”のだ。
その異常な感性が、後にユニークスキルへと繋がっていくとは、まだ誰も知らない——。