ふたりで一人前
第7章は各話それぞれにタイトルを付けていきます。
ギルドのカウンター前で、カイとリーナは並んで立っていた。
ふたりとも、少しそわそわとした様子で手に申請書を握っている。
「えっと……正式に、パーティを組むことになったで、申請をお願いします」
カイが申請書を差し出すと、受付嬢の女性は微笑みながら書類を受け取った。
「はい、確認いたします。……おふたりで《岩甲トカゲ》を討伐されたとの報告、確かに受理されておりますね。Dランク魔物の中でも、あれは特に厄介な相手です。見事な連携でした」
「そ、そう言ってもらえると……ありがたいです!」
リーナが緊張気味にぺこりと頭を下げる。
「これより、カイさんとリーナさんは正式なパーティとして登録され、同時に個人ランクもEランクからDランクへ昇格となります。こちらがDランク用のライセンスカードです。おめでとうございます」
「おお……!」
新しいカードは少し硬質な質感になり、隅に「D」の文字が刻まれている。カイは感慨深げにそれを見つめた。
冒険者はDランクになって初めて一人前として認められる。
「ついに俺も……一人前の冒険者かぁ。これで、変人とか言われるのも少しはマシに――」
「そこは変わらないと思いますよ?」
「……即答っ!? しかも笑顔で!?」
受付嬢の爽やかな毒舌に、カイは思わずツッコむ。リーナが横でくすくす笑っていた。
「でも……私が、Dランク……。今まで、ずっと足手まといだって言われてきたのに」
「いや、リーナの魔法、めちゃくちゃ効いてたし! ほんとに助かったよ! 文句なしでDランクだって!」
カイの言葉に、リーナの表情が少しだけ柔らかくなる。
その手には、新しいライセンスカードがしっかりと握られていた。




