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恐怖に火を灯す⑤
ギルドに戻った2人は、無事に討伐報告を済ませ、報酬を受け取った。
「岩甲トカゲを倒したのはリーナだし、俺は逃げ回ってただけだから、3:7位でいい?もちろんリーナが7ね」
「え? パーティでしょう? ポーションも沢山貰っちゃったし。半分こです」
「そっか……じゃあ、そうしよう」
渡された報酬袋を受け取りながら、カイは照れくさそうに笑った。
「一時的に組む約束だったから、これでお別れだな。今日はありがとう」
そう言って背を向けようとしたカイに、リーナの声が届いた。
「……待ってください!」
振り返ると、リーナが真っ直ぐな瞳で見つめていた。
「私は今まで毒が怖くて、魔法にも集中出来ずに……足でまといとして扱われてきました。
でも……カイさんといると毒が怖くない。自信を持って思い切り魔法が使えるんです。だから……」
一呼吸おいて、顔を少し赤らめながら言った。
「……私と、正式にパーティを組んでください!」
カイは一瞬呆気に取られたが、すぐに満面の笑みを浮かべてうなずいた。
「もちろんだ、リーナ!」
こうして――毒と魔法のパーティが、正式に結成されたのだった。




